サーボモーターをμmレベルで調整するAIを搭載、パナソニックの「MINAS A7」:人工知能ニュース
パナソニック インダストリーは、「産業オープンネット展2024」において、サーボシステムの新製品「MINAS A7」を披露した。
パナソニック インダストリーは、「産業オープンネット展2024」(2024年7月2日、大田区産業プラザ)において、サーボシステムの新製品「MINAS A7」を披露した。
MINAS A7は、従来品である「MINAS A6」から約8年ぶりとなるサーボシステムの新製品であり、速度応答周波数は従来比1.25倍の4.0kHz以上で、エンコーダー分解能もMINAS A6の23ビットから27ビットに高めるなど「業界最高のモーション性能を実現した」(パナソニック インダストリーの説明員)としている。最短通信周期でも62.5μsを実現しており、産業オープンネット展2024に出展していたモベンシスが、産業用PCでリアルタイム制御を実現するソフトモーションコントローラー「WMX3」のサーボモーターの多軸同期制御の周期を62.5μsに向上したことを示すデモでもMINAS A7が用いられている。
これら基本性能の向上に加えて、MINAS A7の大きな特徴となっているのが「precAIse Tuning」と呼ぶ超高精度自動調整機能の追加である。MINAS A6では、その名の通り約1分で自動調整が完了する高精度自動調整機能「One Minute Tuning」と、装置負荷に応じた簡易な自動調整をリアルタイム(0秒)で行う「TUNINGLESS」を提供していた。「ただし、One Minute Tuningだけで最終的な装置の位置決め調整を行えるわけではなく、そこから熟練技術者が数日かけて最終調整を行うのが一般的だった」(同説明員)。
「MINAS A7」の3つの自動調整機能。超高精度自動調整機能の「precAIse Tuning」は、熟練技術者が数日かけて行うμmレベルの超高精度調整を半日〜1日で自動で行える[クリックで拡大] 出所:パナソニック インダストリー
precAIse Tuningは、パナソニック インダストリーが構築したAI(人工知能)モデルを用いてパラメータ調整を数百回繰り返すことでμmレベルの超高精度調整を自動で行えるという。「熟練技術者が数日かけて行うレベルの精度調整を、半日〜1日で自動で行える」(同説明員)としている。
なお、展示デモでは、2つの玉がMINAS A7によってそれぞれ1軸を並行して移動している状態に対して、一方をOne Minute Tuningによって調整すればより高精度に制御できることを示していた。
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