再生材活用支援システムの有効性を確認、2025年に日立ハイテクが事業化へ:脱炭素
日立ハイテクは、再生材の活用を支援する「再生材マーケットプレイスシステム」のプロトタイプ版を用いた実証実験を実施した。システムの有用性を確認できたことから、2025年中の事業化を目指す。
日立ハイテクは2024年6月5日、再生材の活用を支援する「再生材マーケットプレイスシステム」のプロトタイプ版を用いた実証実験を、日立製作所(日立)、積水化学工業と共同で実施したと発表した。システムの有用性を確認できたことから、2025年中の事業化を目指す。
同システムは、原材料として再生材を購入したい買い手と、再生材として廃材を循環させたい売り手とのマッチングや取引をオンライン上で行う。日立の再生材に関する知見と生成AI(人工知能)を活用して、ユーザーが求める仕様や用途を質疑対応形式で明確化し、使いこなすための情報も含めて再生材をレコメンドする仕組みだ。これにより、実用的なマッチングを支援する。
また、理想とする材料性能に応じた、再生材のカスタム設計のサポートも行う。再生材を開発する前に実現可能性も検証でき、前例がない場合でも実用的なマッチングが可能だ。再生材に添加物を混ぜた場合の物性や、一定の比率でバージン材を混ぜた際の特性予測などにも対応できる。
さらに、日立ハイテクや日立が有するセンシング技術により、再生材の品質から特徴量を抽出して最適条件の提案を支援する。日立グループの分析装置を活用し、再生材の性能に影響する異物や規制対象となる化学物質など、品質確認を支援するサービスも提供する。
プロトタイプ版を用いた実証では、積水化学工業の廃材から加工した再生材の性能や品質を、日立ハイテクの分析装置などにより評価した。このデータを日立がシステムにアップロードして、買い手の製品メーカーが自社製品の原材料として採用できるかを検討する一連のプロセスが、問題なく成立することを検証し、システムの有用性を確認した。
日立ハイテクでは素材メーカーなどさまざまなステークホルダーと連携して、同システムを活用したサービスの事業化を目指す。また、積水化学工業も両社と引き続き連携し、さまざまな取り組みを推進する。
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