生成AIが企業のデータ民主化を推し進める 課題解決の発想力が問われる時代に:製造DXの未来とデータ活用の可能性(前編)(2/2 ページ)
いま生成AIをビジネスに活用しようとする動きが盛んです。あらゆる業務が生成AIに置き換え可能となる中、ビジネスパーソンはどのような能力を発揮していくべきでしょうか。ここには従来のDXに関わる取り組みから継続している課題があります。
DXや生成AIで成功するための鍵は
ここでいったん、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する企業の取り組みを振り返ってみましょう。多くの企業がDX推進という錦の旗の下に、データ活用を通じたデータドリブンな意思決定や、ビジネスの変革を実現しようと挑戦してきました。一定の成果を出した企業もありますし、まだ実現に向けた模索を続けている企業もあります。DXという潮流を通じて、私たちが学ぶべきことは何でしょうか。
DXの初期段階では紙媒体などのアナログデータをデジタル化することで、業務の効率化や生産性向上に取り組んだ企業もありました。データからより高い価値を生み出すために、データサイエンティストやそれに準じるスキルを備えたデータ活用人材を育成する取り組みもありました。
人材育成の観点で見ると、高度な分析スキルを備えたデータサイエンティストや、それに準ずるスキルを持つ人は、一部の層に限られていたのではないでしょうか。その後、「データ活用の民主化」という言葉に象徴されるように、高度な分析スキルやプログラミング能力がなくとも扱えるノーコード/ローコードツールが登場し、データ活用のハードルは次第に下がっていき、多くの人がデータ活用できるようになっていきました。
多数の従業員が主体的にデータ活用に取り組むことができれば、それは大きな力になります。データ活用によって一人一人が生む効果は小さくとも、企業全体で積み上げれば大きなインパクトになります。
そして今、データ活用の民主化に欠かせないツールが登場しました。生成AIサービスです。誰もが生産性を高められる強力なツールを手にできる時代になったのです。
思い出してみてください。かつて、データ分析のスキルが求められる場面があると、上司がそういったスキルを持つ部下に分析結果をレポートでまとめるように指示していました。ノーコード/ローコードツールやBIツールの登場で、これまでも徐々にデータ活用のハードルは下がっていたことは確かです。
しかし、生成AIの登場でそうしたハードルはさらに下がっていきます。もう誰かに指示/依頼することなく、調べたいことはその場で結果を手にすることができるようになるでしょう。データ収集から分析、意思決定までの時間がこれまでに比べて格段に短くなります。
情報システム部門などITシステムを提供する役割の方は、社内の誰もが生成AIやデータを活用できるようなツールや環境を、できるだけ早く用意する必要があります。容易に使えて素早く結果を出せるツールがあることで、社員は業務の生産性を高められるようになります。それだけでなく試行錯誤を何度も繰り返せるようになり、イノベーションのスピードが加速します。
一方で、生成AIサービスやデータ活用ツールを利用する立場の方は、先ほど述べたように新しいテクノロジーが自分のタスク遂行にどのように活用できるかを考える必要があります。創意工夫が必要なので、ここは発想力が重要になります。
DXとはデジタルやデータの力でビジネスをトランスフォームしていく(形を変えていく)ことです。さまざまな変化に合わせて継続的に変革を続けるという意識の変革が欠かせません。つまり、いかに新しいビジネスを生み出すかが大事になります。DXに関するこうした意識は、今後も引き続き重要です。
では、DXにおいてよりインパクトのある成果を出すにはどうしたらいいでしょうか。次回は製造業を中心に、データ活用を通じてビジネスに大きな変化や効果をもたらした例を見ていきます。
アルテリックス・ジャパン合同会社
カントリーマネージャー 宇野林之
日本IBMのソフトウェア事業のソリューションスペシャリストや、SAS Institute Japanの営業統括の責任者などを経て、2023年にAlteryxに入社。20年以上に渡り、データ活用とソフトウェアのビジネスに従事する。
アルテリックス・ジャパン合同会社
リードセールスエンジニア 新郷美紀
前職のNECではビッグデータやAIに関するシニアソリューションアーキテクトとしてさまざまなグローバル企業とのコラボレーションをリードし、2023年7月にAlteryxに入社後は、リードセールスエンジニアとして金融ユーザーを中心にソリューションを提案に従事する。
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