三菱電機とNTTコムがAIによるふるまい異常検知が可能なOT向けセキュリティ提供:産業制御システムのセキュリティ
三菱電機とNTTコミュニケーションズは、IoTとOT向けセキュリティソリューションの提供を開始した。AIによるふるまい異常検知により、重要インフラや製造現場などにおけるIoT、OT領域のセキュリティを強化する。
三菱電機とNTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2024年5月28日、IoT(モノのインターネット)とOT(制御技術)向けセキュリティソリューションを発売した。三菱電機の製造現場内で同ソリューションを実証し、有効性を確認している。
同ソリューションは、三菱電機が開発したネットワークセンサーと、NTTコムおよび日本電信電話(NTT)が開発した分析サーバで構成する。
NTTが開発したAI(人工知能)分析エンジンも搭載し、IoTとOT機器のネットワークトラフィックを監視する。深層学習を活用したAIが、事前登録した正常パターンから外れた通信を検知する「ふるまい異常検知」をすることで、重要インフラや製造現場などのIoT、OT領域のセキュリティを強化する。
ネットワークトラフィックの特徴量をAIが分析するため、従来のパターンマッチ型では対応が困難だった未知の攻撃に対しても、検知と発報が可能になる。例えば、通常のネットワークトラフィックにおいて、機器間の通信量と通信頻度、送信元、送信先のIPアドレス、通信ポート、プロトコルなどのパラメーターの変化を検知する。
また、プロトコルが標準仕様か独自仕様かを問わず、通信の特徴を自動で学習する。これにより、多様な監視対象システムのプロトコルに対応できる。
既存システムへの接続も容易だ。同ソリューションのネットワークセンサーを既存システムのトラフィック管理専用ポート(ミラーポート)に接続するだけで、現状の構成を大きく変更せずに導入できる。
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