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海藻によるブルーカーボンの活用に向けたコア技術の委託事業に採択:研究開発の最前線
東北大学が代表機関を務めるコンソーシアムが、福島国際研究教育機構の委託事業「ネガティブエミッションのコア技術の研究開発・実証」に採択された。同大学のほか、鹿島建設と日本エヌ・ユー・エスが参画している。
東北大学は2024年5月28日、同大学が代表機関を務めるコンソーシアムが、福島国際研究教育機構(F-REI)の委託事業「ネガティブエミッションのコア技術の研究開発・実証」に採択されたと発表した。受託した「浜通りブルーカーボンによるネガティブエミッションシステムの構築のためのコンソーシアム」には、同大学のほか、鹿島建設と日本エヌ・ユー・エスが参画している。
大気中のCO2を回収し、固定化するネガティブエミッション技術として、海藻などをCO2吸収源とするブルーカーボンが注目されている。同プロジェクトは、ブルーカーボンの活用に向けた海藻育苗に、海藻のメタン発酵を用いる取り組みだ。
具体的には、同大学が牛の第1胃から得られる微生物により、海藻を効率的に発酵する技術を開発。副産物の消化液を、栄養塩として海藻育苗に利用するプロセスを鹿島建設が担う。一連のエネルギー収支やCO2削減の可能性を、同大学と日本エヌ・ユー・エスが試算する計画だ。
発酵時に発生するメタンガスは発電の燃料とし、グリーンエネルギーによる育苗システムの構築を目指す。
実施期間は2029年度までとしている。資源を循環する持続可能な海藻育苗の産業化により、沿岸地域におけるブルーカーボンを増やす生態系の育成や、新しいビジネスの創出が期待される。
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