積水化学が機能性微粒子の生産能力を増強、2026年度には現行生産能力の倍に:工場ニュース
積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは機能性微粒子「アドバンセル」の生産能力を増強する。2026年度には現行生産能力と比べ倍増とする計画を立てている。
積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは2024年6月3日、子会社である徳山積水工業(山口県周南市)で、機能性微粒子「アドバンセル」の生産能力を増強することを決定したと発表した。2025年度第4四半期(2026年1〜3月)からの増産開始を予定しており、2026年度には現行生産能力と比べ倍増とする計画を立てている。
今回の投資と徳山積水工業の概要
アドバンセルの生産能力増強への投資額は20億円で、稼働時期は2025年度第4四半期。徳山積水工業は、1964年創業で従業員数は約150人、製造品目は塩化ビニール樹脂、機能性微粒子、その他合成樹脂となる。
アドバンセル生産能力増強の背景
アドバンセルは、熱可塑性ポリマーセル内に低沸点炭化水素を内包した機能性微粒子だ。加熱することによって、シェルが軟化し、それと同時に内部の炭化水素が急激に膨張して、中空状のバルーンを形成するため、樹脂(基材)に混練することで、軽量化/柔軟化など、さまざまな特性を発揮させられる。
また、高機能プラスチックスカンパニーの機能樹脂事業部では、アドバンセル事業をグローバルに展開しており、自動車用シール材、靴底、建材など幅広い用途で使用されている。積水化学工業独自の生産技術により、高発泡倍率と安定した品質を実現したアドバンセルを、さまざまな用途に向け提供している。
一方、近年は、顧客からの要求品質の高まりに加え、環境対応への強い関心から、主要市場である靴底用途だけでなく、自動車用途での需要も急激に拡大している。今後、継続的な需要拡大が産業分野を問わず見込まれることから、同社は約20億円を投じ安定的な供給体制を目指すに至った。
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