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イチから全部作ってみよう(8)発注側の要望を受けて始まる「ヒアリング」の例題山浦恒央の“くみこみ”な話(177)(3/3 ページ)

ECサイトを題材にソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」がスタート。シリーズ第8回は、正しい要求仕様書に向けた第一歩となる「ヒアリング」について具体的な例題を使って解説します。

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4.2 開発側のヒアリング

 顧客側の要望を基に、ヒアリングの内容を考えてみましょう。例えば、筆者であれば下記をヒアリングしたいと考えます。

  • 現状で考えるのはトップページだけでよいか
  • 表示する内容に過不足はないか
  • ECサイトに必要な素材、商品の情報は提供してもらえるのか
  • デザイン性などは考える必要があるか
  • プログラミング言語などに指定はあるか

 これらを表形式のヒアリングシートにまとめると、リスト1のようになります。

No. 開発側ヒアリング 発注側回答
1 現状考えるのはトップページだけでよろしいでしょうか 現状はトップページのみで大丈夫です
2 表示する内容に過不足はないでしょうか 現状は大丈夫です
3 ECサイトに必要な素材、商品の情報は提供していただけるでしょうか こちらで提供します
4 デザイン性などは考える必要がありますでしょうか 現状は指定した画像に従ってお願いします
5 プログラミング言語などに指定はありますでしょうか ありません
6 ワインの商品の情報としては、商品名、価格、在庫、生産者以外に何かありますでしょうか それ以外にも、
ビンテージ
国/地方名/村名/畑名
容量
品種
色(赤、白、ロゼ、オレンジ)
ボディー
などがあります
リスト1 ヒアリングシート

 リスト1は、開発側のヒアリング内容とそれらに対する発注側の回答の結果をまとめたものです。他にも聞くことはたくさんあるでしょうが、その他の話は適宜補完していただければと思います。また、ここで確認した内容は、最終的に要求仕様書となります。

5.おわりに

 今回は、要求仕様フェーズの中のヒアリングに関し、ECサイトを題材に解説しました。ヒアリングの作業は、全フェーズに横断して発生するため、気になったことがあれば確認していくとよいでしょう。

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【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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