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有限要素法入門 〜要素剛性マトリクスの導出〜CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(4)(5/7 ページ)

金属疲労を起こした際にかかる対策コストは膨大なものになる。連載「CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる」では、CAEを正しく使いこなし、その解析結果から疲労破壊の有無を予測するアプローチを解説する。連載第4回は、前回に引き続き「有限要素法」について解説する。

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 変数変換できたので、式26は次式となります。積分が楽になりました。

式39
式39

 det[J]は積分で変数変換によって出てきた数で「ヤコビアン」という式38を行列式としたときの値です。

 次は、変位−ひずみマトリクス[B]を求めましょう。節点変位も図6のようにξ、ηで表します。

2次元四角形1次要素の変位の変換
図6 2次元四角形1次要素の変位の変換[クリックで拡大]

 節点変位のξ、ηの表示は次式となります。

式40
式40

 関数N(ξ,η)は座標変換のときと同じ発想で作ることができます。N(ξ,η)とG(ξ,η)は要求される振る舞いが同様のため、同じ形にできます。N(ξ,η)とG(ξ,η)を同じ形にして要素剛性マトリクスを導きます。このようにして作られた要素を「アイソパラメトリック要素」といいます。アイソ(iso)は「同じ」という意味でしたね。

 N(ξ,η)とG(ξ,η)は「形状関数」と呼ばれています。では、ひずみを求めましょう。ひずみは変位を座標xとyで偏微分したものでした。式36式37を左側から[J]の逆行列を掛け算し、左辺と右辺を入れ替えます。次式です。

式41
式41

 ひずみが求まったので、変位−ひずみマトリクス[B]が作れます。式39の積分は、[B]、[D]、[J]、[J]-1、|J|を先に個別に数値化して近似積分を行います。

 では、20節点六面体要素ではどうでしょうか。変換前後の形状を図7に示します。

六面体20節点要素
図7 六面体20節点要素[クリックで拡大]

 形状関数は次式となります。

式42
式42

 形状関数は20個あります。最初の2つを書いておきます。

式43
式43

 形状関数だけ異なる形で前述した方法で要素剛性マトリクスを作ることができます。式35式43で表した形状関数は何かの式から導くのではなく、「ポンポンポン、チーン」という感じでぱっとひらめいて作るので、「セレンディピティ族要素」と呼ばれています。「セレンディピティ」という言葉は、『セレンディップの三人の王子たち』という童話で、セレンディップ(今のスリランカですね)の3人の王子が、その洞察力からいろいろなことを発見したことから由来しています。

 2次元三角形要素と3次元四面体要素については、1次要素と2次要素の違いを説明してから触れます。

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