XR技術を用いた体感型アーバンプランニングツールの実証実験の成果を公表:VRニュース
サイバネットシステムは、インフォ・ラウンジ、山手総合計画研究所と共同で、XR技術を用いた体感型アーバンプランニングツール「Tangible Interface XR」の実証実験成果を発表した。
サイバネットシステムは2024年4月23日、インフォ・ラウンジ、山手総合計画研究所と共同で参画する国土交通省「3D都市モデル整備・オープンデータ化プロジェクトPLATEAU(Project PLATEAU)」において、XR技術を用いた体感型アーバンプランニング(都市設計)ツール「Tangible Interface XR」の2023年度の実証実験の成果が公表されたと発表した。2024年度の実証実験事業参画も決定している。
Tangible Interface XRは、都市模型(ジオラマ)とVR(仮想現実)により、インタラクティブに都市デザインができる。実寸大の3Dデジタルツインの景観として、台上のジオラマと配置を再現し、VRヘッドセットなどに人物や調度品の模型を合わせて表示する。模型は、タンジブルインタフェースと呼ばれるデジタル情報を直接操作する機能を持ち、VR内に再現される都市の景観がリアルタイムに変化するため、その場で模型を動かして新しいアイデアを視覚化できる。
2023年度の実証実験は、神奈川県横浜市の山下公園周辺エリアを対象に実施。約20人の市民が参加した。今回使用したTangible Interface XRは、前年度の結果を踏まえ、筐体の小型化や管理ソフトウェアのクラウド化などのバージョンアップを実施している。
筐体は50×30×30cm程度と約3分の1の箱型に改良し、ワークショップでの可搬性、利便性が向上した。また、タンジブルユーザーインタフェースソフトの実行やディスプレイ表示する機器を小型コンピュータ(Raspberry Pi)に変更し、躯体内に内蔵。VR再現用にテーブル下面から都市模型を撮影するカメラを赤外線対応にした。
模型を配置する躯体の天板にあたる部分には、透過液晶ディスプレイを採用。ワークショップで模型を操作する各躯体やVRを表示するソフトウェアは、クラウド上で稼働するサービスプログラムを通じて管理されるシステムに変更した。
実証実験の参加者は、タンジブルユニット10台を使用し、都市計画を検討して通りを歩行者空間化する案や水辺を活用する案などを作成。多様な視点やアイデアがその場で可視化され、他の参加者と意見を共有しやすくなることが評価された。
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