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品質保証システムとその前提である品質マネジメントシステムの関係とはAMの品質保証とISO/ASTM 52920(2)(2/3 ページ)

本連載では、AMにおける品質保証と、その方法を標準化した国際規格ISO/ASTM 52920について解説する。今回は、品質保証システムと、その基盤となる企業自体の、品質を重視する経営の仕組みについて考える。

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品質保証システムと品質マネジメントシステムの関係

 B to Bの購買者も、求める品質が保証されるかを確認するにはまず大きなところから、どんどん焦点を絞りながら「ちゃんとしているか」を確認していきます。製造業者が部品を調達する場合、例えば以下のような流れになります。

(1)組織の妥当性:この企業はちゃんとしているか

資本金などの社内与信が通ったし、ISO 9001の認証を受けている。ある程度ちゃんとしているな。

(2)工程の妥当性:この製品の製造工程はちゃんとしているか

我が社の品質保証部が工程監査のため訪問し、ちゃんとしていることを確認した。

(3)製品規制等の適合性:この製品が該当する法規制や業界規制をちゃんとクリアしているか

この製品は無線機器だが、該当の適合認定を受けている。

求める品質が保証されるかを確認するには
求める品質が保証されるかを確認するには[クリックで拡大]出所:テュフズードジャパン

 ここで、(1)と(2)は両方必要なのか、ISO 9001の認証を持っていたら(2)は要らないのでは、と思われた方がいるかもしれません。それでは、こんな場合はどうでしょうか。

・業界大手の八百屋Aは、野菜、果物の仕入れから保管、販売、発送までの範囲でISO 9001の認証を取得しています。この企業にレトルト野菜カレーの開発と量産製造を発注します。

・業界老舗の樹脂射出成型メーカーBは、量産成型品の設計・開発・製造の範囲でISO 9001の認証を取得しています。また、社内試作用に長年樹脂AMを活用しています。この企業に量産品の樹脂部品のAM製造を発注します。

 この2つの例はどちらも、企業としてはちゃんとしているが、買いたいものの工程がちゃんとしているかどうかは証明されていません。工程がちゃんとしているかどうかが分からない理由は2つあります。

・その工程が品質マネジメントシステムの範囲に含まれていない

・その製品の品質保証システムが存在または機能していない

 ということで、(1)と(2)両方が必要か、という答えはYESです。どちらかだけでは成り立ちません。(2)だけがあって(1)がないというのは、例えば製造部はちゃんとしているが、会社の経営がちゃんとしていない、というような場合です。製造部には不具合を追及し、解決する仕組みがあるのに、会社として顧客のフォローに必要な人材や工数を割り当てていない、などがそれにあたります。

 ここまでをまとめると、顧客が要求する品質を保証するための条件は以下のようになります。

・該当工程を含む品質マネジメントシステムがあり、機能している

かつ

・該当工程に品質保証システムがあり、機能している

 それでは、次にこの「品質保証システムがあり、機能している」とはどういうことなのかを考えていきましょう。

品質保証システムを構築する、とは

 我が社は品質保証をするぞ、と決めたら最初にすることは、関連工程に品質マネジメントシステムを実装して運用することです。次にすることは品質保証システムの構築です。

 品質保証システムを構築する、とは「ここに頼んだら期待を裏切られない」、と顧客に思ってもらうような仕組みを作ること。また、その証拠を示せるようにすることです。

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