倉庫を圧迫する大量の越前漆器 出会いつなぐマーケット開催で表舞台に:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(14)(5/5 ページ)
本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回はモノづくり産地の越前鯖江エリアで、漆器業界の抱える課題解決に挑戦する、越前漆器販売店「漆器久太郎」の曽明富代さんと曽明晴奈さんを取材しました。
「一期一会」のコンセプトを意識した展開を
――マーケットを開催する際にはどういった部分にこだわっていますか?
晴奈さん 「倉庫で自分のお気に入りと出会う」という世界観を守るため、今後の実施場所は倉庫でと決めています。ショールームのように整列して並べないということにも気を付けています。
――なるほど、だから古着屋やフリーマーケットに足を踏み入れ、商品を見て回るときのようなワクワク感があるのですね。今後もこういったイベントは継続されるのでしょうか?
晴奈さん 一期一会マーケットは、スクールでのプロジェクトとして、外部の方の協力を得て実現しました。普段は主に母と2人で店舗の経営やその他の事業を進めている都合で、今すぐ定期的に開催するのは厳しそうです。今後は、自分たちにとって無理のない頻度や規模で、焦らず継続をしていきたいです。
――そうなのですね。次回は未定ということでしょうか?
晴奈さん 次回は2024年5月12日の開催を予定しています(記事執筆時点)。また、2024年11月1〜3日に開催予定の「RENEW」でも、一期一会マーケットの開催を決定しています。その他の実施予定日は一期一会マーケットの公式Instagramで随時告知予定です。不定期での開催にはなりますが、今後もデッドストックと自社倉庫を通して、漆器を知り、一期一会の漆器との出会いを楽しんでもらえるような場所を作っていきたいです。
あとがき
モノづくりの世界に興味がある人をうまく巻き込み、仲間や身内を増やすという、とても興味深いプロジェクトでした。外部の人間として産地のイベントに行ったり、買い物をしたりする他に、私たちにできることはまだまだあるのだと思います。
モノづくりの「内側」に飛び込んで、企業と本気で向き合い、未来を一緒に築いていく――。その活動のプロセスや成果をまとめ、報告する商品/サービス開発プロジェクトの発表会では、どの企業の報告にも魂がこもっており、皆さんの本気度が伺えました。スクールに参加された皆さん、半年間本当におつかれさまでした。
取材後には漆器久太郎オリジナルのKyutarou Blueシリーズのお箸を購入しました。他のアイテムも集めたくなる、鮮やかなブルーがすてきでした。一期一会マーケットで購入した漆器「朱のつぼみ」とレンコンコースターもお気に入りです。
その他の、ものづくり新聞による越前鯖江の記事はこちらです。
(ものづくり新聞記者 佐藤日向子)
著者紹介
ものづくり新聞
Webサイト:https://www.makingthingsnews.com/
note:https://monojirei.publica-inc.com/
「あらゆる人がものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」をビジョンに、ものづくりの現場とつながり、それぞれの人の想いを世界に発信することで共感し新たな価値を生み出すきっかけをつくりだすWebメディアです。
2023年現在、160本以上のインタビュー記事を発信し、町工場の製品開発ストーリー、産業観光イベントレポート、ものづくり女子特集、ものづくりと日本の歴史コラムといった独自の切り口の記事を発表しています。
編集長
伊藤宗寿
製造業向けコンサルティング(DX改革、IT化、PLM/PDM導入支援、経営支援)のかたわら、日本と世界の製造業を盛り上げるためにものづくり新聞を立ち上げた。クラフトビール好き。
記者
中野涼奈
新卒で金型メーカーに入社し、金属部品の磨き工程と測定工程を担当。2020年からものづくり新聞記者として活動。
佐藤日向子
スウェーデンの大学で学士課程を修了。輸入貿易会社、ブランディングコンサルティング会社、日本菓子販売の米国ベンチャーなどを経て、2023年からものづくり新聞にジョイン。
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