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イチから全部作ってみよう(7)正しい要求仕様書の第一歩となるヒアリングの手順:山浦恒央の“くみこみ”な話(176)(2/3 ページ)
ECサイトを題材にソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」がスタート。シリーズ第7回は、要求仕様フェーズで作り上げる正しい要求仕様書に向けた第一歩となる「ヒアリング」について解説します。
4.ヒアリングの手順
ヒアリングの手順について説明します。
- 発注側がやりたいことを説明する
- 開発側がヒアリングをする
4.1 発注側がやりたいことを説明する
最初に発注側が、プロジェクトの背景や目的、達成したいことを明確に説明します。
- 例1:株式会社ワールドワインショップでは、商店街にある小さなワインショップを経営している。店では良質なワインを取りそろえているが、売り上げをさらに拡大するため、ECサイトを新たに立ち上げたい
- 例2:法改正(消費税率、内税/外税表記など)によって、金額の表示/計算方法を修正したい
- 例3:注文メールが届かないという顧客からのクレームがあった。このままだと顧客満足度に影響を与えるため、注文メール送信機能を修正してほしい
上記の話を発注側から開発へ伝達します。場合によっては、営業担当が大まかな話を聞いてくれる場合もあるでしょう。
4.2 開発側がヒアリングをする
次は、開発側が、開発担当の目線でヒアリングを行います。例題を下記に示します。
- ECサイトの商品数に関して
- 開発側:ECサイトに掲載する商品数は何点ですか?
- 発注側:5万点程度を想定しています
- 法改正に関して
- 開発側:2024/10/30までの対応がマストですか?
- 発注側:法律の施行が2024/12/1ですから、店員への周知も含め、2024/10/30までに対応してください
- 注文メールが届かない件に関して
- 開発側:注文メールが届く顧客と届かない顧客の違いは何ですか?
- 発注側:特定ドメインのユーザーに対して、メールが届かないようですが、原因は分かっていません
- 開発側:メールの送信ログはいただけますか?
- 発注側:はい。可能です
上記のような話をひたすらヒアリングし、「ヒアリングシート」にまとめます※1)。なお、最終的にこれを分類した正式文書が、要求仕様書となるのです。
※1)ヒアリングシートという呼び方は、一般用語ではなく、「要求一覧」「ヒアリングした内容をまとめたもの」「議事録」といった類の成果物と考えてください。
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