計算時間が従来比最大1000倍高速な流体解析ベースのトポロジー最適化ソフト:CAEニュース
SCSKは、ToffeeXと販売総代理店契約を締結し、トポロジー最適化ソフトウェア「ToffeeX」の販売を開始した。放熱の最大化や圧力損失を最小化する部品の形状を、高度なトポロジー最適化技術により短時間で導き出す。
SCSKは2024年4月1日、ToffeeXと販売総代理店契約を締結し、トポロジー最適化ソフトウェア「ToffeeX」の販売を開始した。放熱の最大化や圧力損失を最小化する部品の形状を、高度なトポロジー最適化技術により短時間で導き出す。
ToffeeXは、流体解析をベースとしたトポロジー最適化ソフトウェア。クラウド環境で提供し、オペレーションはWebブラウザ上で実施する。トポロジー最適化に特化した機能に絞っており、計算は20前後のパラメーターの設定だけで実行できる。従来の手法に比べると、計算時間を10〜1000倍高速化する。
長時間の計算時間を短縮でき、さまざまなパラメータースタディで構造を検討可能だ。また、多目的トポロジー最適化を提供できるため、圧力損失の最小化、熱効率の最大化、温度の最小化などを同時に達成する。パラメーター間の重みを調整すれば、圧力損失もしくは熱効率のどちらを重視するか決定できる。
構造解析ソフトウェア「ADVENTURECluster」と連携すれば、ToffeeXで設計した部品の詳細な強度解析ができる。また、鋳造プロセスシミュレーションソフトウェア「MAGMASOFT」、射出成形プロセスシミュレーションソフトウェア「SIGMASOFT」との連携など、ユーザーの要望に沿った提案をする。
同社は、熱マネジメントが必要となる部品の製造や、3Dプリンタでの製品設計分野をメインに、2026年3月までに50本の販売を目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カシオが電子キーボードの鍵盤構造の変更にCAEを活用、その効果と展望
電子楽器開発で40年以上の歴史を誇るカシオ計算機は、グリッサンド奏法の操作性を維持するために採用してきた旧来の鍵盤構造を見直すべくCAEを活用。新たなヒンジ形状を導き出し、作りやすい鍵盤構造を実現することに成功した。その取り組み内容とCAE活用の展望について担当者に話を聞いた。 - フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明
野球のピッチャーの決め球、フォークボールはなぜ落ちるのか? これまでボールの回転数が少ないことで自然落下による放物線に近い軌道を描くとされていたが、東京工業大学 学術国際情報センター 教授の青木尊之氏を代表とする研究チームがスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」による数値流体シミュレーションを実施し、その謎を初めて解明した。 - 「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科 教授の坪倉誠氏に話を聞いた。 - ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。 - シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦
八千代工業は、ダッソー・システムズ主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」において、「CATIA、Abaqus、Isightを使った樹脂製燃料タンクの最適設計技術の構築と設計者展開」をテーマに講演を行った。 - 仮想実験室からデジタルツインへ、富岳が実現する自動車業界のCAEの形とは
ヴァイナスのユーザーイベント「VINAS Users Conference 2019」で、理化学研究所 計算科学研究センター・神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 チームリーダー・教授/博士(工学)の坪倉誠氏が登壇し、「HPCシミュレーションとデータ科学の融合による新たな自動車空力について」をテーマに講演を行った。