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有限要素法入門 〜連立方程式の解法、変位の計算〜CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(3)(6/7 ページ)

金属疲労を起こした際にかかる対策コストは膨大なものになる。連載「CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる」では、CAEを正しく使いこなし、その解析結果から疲労破壊の有無を予測するアプローチを解説する。連載第3回では、前回作成した全体剛性マトリクスから弾性変形後の変位を求める。そして、変位−ひずみマトリクス[B]を導出する。

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レイリー・リッツ法とガラーキン法

 有限要素法は「実は『レイリー・リッツ法(Rayleigh-Ritz method)』なのだよ」や「実は『ガラーキン法(Galerkin method)』なのだよ」といったことが書かれている文献やWebサイトがあります。筆者が講義を受けた当時は「レーレー法」と先生は呼んでいました。

 では、レーレー法について、片持ちはりを例に説明していきましょう。ここでは片持ちはりの固有振動数を求める問題です。図7に、片持ちはりを指で変形させて、その後指を放した後の先端変位の時間変化を示します。片持ちはりは「ブルブルブル」っと振動します。このときの振動数をレ−レー法で求めてみましょう。

片持ちはりの自由振動
図7 片持ちはりの自由振動[クリックで拡大]

 レーレー法の弾性変形問題での戦略は以下となります。

  • 変形形状を簡単な関数で仮定する
  • エネルギーを計算し、エネルギー保存やポテンシャルエネルギー最小などの規則を用いて所望の解を得る

 参考文献[5]では、形状をxの3次式で仮定していますが、ここでは変形形状を次式(コサインカーブ)で仮定してみましょう。式50を図示したものが図8にとなります。コサインカーブも片持ちはりの変形のようですね。

式50
式50
式50で仮定した振動形状
図8 式50で仮定した振動形状[クリックで拡大]

 次のステップは、エネルギーの計算です。図7右図に注目します。A点の変形量はゼロですが、速度は最大です。B点は振動の折り返し点なので速度はゼロで、変形量は最大です。エネルギー式として次式が成立します。エネルギー保存則となります。

式51
式51

 では、運動エネルギーを求めましょう。図9に座標と変形形状の関係を示します。

片持ちはりの変形
図9 片持ちはりの変形[クリックで拡大]

 位置xで長さ∆xのはりの微小な一部に注目します。断面積をA(x)、密度をρとすると、はりの微小な一部の質量はρA(x)∆xで、速度は変位yを時間で微分したものなので、次式で表されます。

式52
式52

 はりの微小な一部の運動エネルギーは次式となります。

式53
式53

 これをはりの全長で積分したものがはり全体の運動エネルギーで、次式となります。∆xをdxに書き換えました。また、断面積はxの関数でしたが一定値Aとします。

式54
式54

 変形量がゼロのとき速度は最大です。cos ωt=1のときに運動エネルギーは最大となり次式となります。次式です。

式55
式55[クリックで拡大]

 では、速度ゼロのときの弾性変形のエネルギーを求めましょう。以前の連載「フリーFEMソフトとExcelマクロで形状最適化」で弾性体に蓄えられるひずみエネルギーは次式で表されると述べました。

式56
式56

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