CHAdeMO規格、次の一手はどうするのか:和田憲一郎の電動化新時代!(51)(2/3 ページ)
2024年に入りハイブリッド車の話題が多くなってきたが、電気自動車も踊り場を経た後で再び市場が拡大するといわれている。そのような中、日本発の急速充電規格CHAdeMOの普及を進めたCHAdeMO協議会は、今後どのような方針で進めていくのだろうか。CHAdeMO協議会にインタビューを行った。
Ultra-ChaoJiへの関心は薄い?
和田氏 以前話のあった、最大出力1.8MWのUltra-ChaoJi規格は現在どのような状況か。
荒井氏 日本と中国で共同開発している。現在は規格に修正が入り、詳細を検討している段階である。ただし、このような規格は最大出力が大きいことから日本側ではあまり関心のあるステークホルダーがいないため、日本での実用化は難しいと思われる。
ASEAN地域における急速充電器について
和田氏 近年、中国自動車メーカーがタイやインドネシアなどASEAN諸国に進出し、EV工場を建設するなどの報道がある。このような中、CHAdeMO協議会としてはどのような対応を考えているのか。
荒井氏 現在ASEAN諸国の中で、複数の規格が乱立していることは承知している。先にも述べた通り、自動車メーカーや急速充電器メーカーが個社で判断することとなっており、CHAdeMO協議会として特に活動は行っていない。しかし、ASEAN諸国においても、中国や日本と同じように、現在の規格からChaoJiに移行することを想定している。
和田氏 もしそうであれば、タイ、インドネシア、ベトナムなどEVを積極的に導入しようとしている国で、GB/TやCHAdeMOが将来どうChaoJiに移行していくのか、現地で広報活動などを行うことも必要ではないか。
荒井氏 業界の方のみでなく、一般の方が分かりにくいのであれば、中国側とも協議し、現地での広報活動も検討してみたい。
V2H規格に対する海外の関心
和田氏 CHAdeMO規格はV2H(Vehicle to Home)ができることが他の規格との違いだと思うが、V2Hについては現在どのような状況か。
箱守氏 日本では仕様書も発行され、V2Hとして実用化されている。海外ではASEANや中東のヨルダンが関心を寄せている。
先般、ヨルダンのアンマンを訪問し、関係者と意見交換を行った。街中では日産自動車のEV「リーフ」がたくさん走行していた。ヨルダンは他国から輸入する化石燃料に1次エネルギーの89%を依存しており、エネルギー安全保障の強化や脱炭素化を背景に再エネ導入が急速に進んでいる。運輸部門ではEV導入拡大が進んでおり、太陽光由来の昼間の余剰電力の有効活用が必要である。
EV導入の際、CHAdeMO規格だけが実用化と市販化まで進んでいる「双方向充電機能を生かした需要側の調整(DSM:Demand Side Management)」に対する関心が高いことが分かった。
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