CHAdeMO規格、次の一手はどうするのか:和田憲一郎の電動化新時代!(51)(1/3 ページ)
2024年に入りハイブリッド車の話題が多くなってきたが、電気自動車も踊り場を経た後で再び市場が拡大するといわれている。そのような中、日本発の急速充電規格CHAdeMOの普及を進めたCHAdeMO協議会は、今後どのような方針で進めていくのだろうか。CHAdeMO協議会にインタビューを行った。
2024年に入りハイブリッド車(HEV)の話題が多くなってきたが、電気自動車(EV)も踊り場を経た後で再び市場が拡大するといわれている。そのような中、日本発の急速充電規格CHAdeMOの普及を進めたCHAdeMO協議会は、今後どのような方針で進めていくのだろうか。CHAdeMO協議会事務局長の荒井一真氏、同広報部長の箱守知己氏(オンライン参加)にインタビューを行った。
CHAdeMO協議会は6月から新体制
和田憲一郎氏(以下、和田氏) 最近、CHAdeMO協議会の体制が変更されたときいている。まずはこれについて教えていただきたい。
荒井氏 事務局長はこれまでの丸田理氏から、小職が引き継ぐこととなった。またCHAdeMO協議会 会長の姉川尚史氏は理事を退任し、東京電力から新しい理事が就任する予定である。欧州、北米などの駐在事務所は変更はない。6月に総会を開催予定であり、新体制も正式に承認されると考えている。
北米の充電規格について
和田氏 フォード(Ford Motor)やGM(General Motors)などが、北米で従来のコンバインド充電システム(Combined Charging System、CCS規格)から、テスラ(Tesla)が採用する北米充電標準規格(North American Charging Standard、NACS規格)へ移行することを表明し、その後も多くの自動車メーカーが追随することを公表した。これに対して、CHAdeMO協議会としてどのような影響があるのか。また、NACS規格では車両情報を吸い上げるとの報道もあるが、どのように考えているのか。
荒井氏 日系自動車メーカーも北米でNACS規格を採用すると聞いている。なお、北米にはまだCHAdeMO規格の急速充電器があり、かつ駐在事務所もあることから、従来通りの活動を続けていく予定である。NACS規格が充電時に情報を吸い上げることについては、個社の判断であり交渉の詳細は分からないが、今のところそれを許容しているのではないだろうか。
超急速充電規格ChaoJiに関する中国と日本の状況
和田氏 日中共同開発の超急速充電規格「ChaoJi」の中国における状況について教えて欲しい。
荒井氏 2023年9月に国家標準化管理委員会により、ChaoJi規格は国家標準GB/T 18487.1-2023「電気自動車導電性充電器」として公告された。それ以外にも詳細規格が幾つかある。発効は2024年4月からである。従来型のGB/T規格を採用するか、新たなChaoJi規格を採用するかは自動車メーカーや急速充電器メーカーに一任しており、車両などによるすみ分けを設けていないようだが、将来的にはChaoJiに移行を考えている。
和田氏 現行の急速充電規格GB/Tと、新たな超急速充電規格ChaoJiについて市場で混乱することはないのか。また互換性はどうなるのか。
荒井氏 ChaoJi規格の車両については、従来のGB/T急速充電器に接続できるようアダプターが設定されている。ChaoJiを2025年には導入し、2030年には切り替えが完了する予定ではないだろうか。現在は従来のGB/T急速充電器が大多数であり、ChaoJiの車両が今後出現してもアダプターにより互換性があるため、ユーザーに不便をかけないだろう。
和田氏 日本ではChaoJiについてどのような状況か。また互換性はどうなっているか。
荒井氏 日本でも、ChaoJi規格はCHAdeMO 3.0として仕様書が発行されており、ChaoJi規格を導入するか否かは、自動車メーカーや急速充電器メーカーが個社で判断することになっている。CHAdeMO協議会の会員には、ChaoJi規格を2025年までには導入開始し、2035年ごろには切り替えを完了するよう提案している。互換性を確保するために、現在の規格とChaoJi規格とを結ぶアダプターを開発している。さらには下記に示す通り、CCS規格とChaoJi規格を結ぶアダプターも開発している。なお、導入車両は、トラックやバス、船舶などが最初になるのではないか。
和田氏 一般の人には、CHAdeMO規格とChaoJi規格の違いや互換性、将来の統一時期などが分からないので、業界内のみならず一般の方にも伝わるよう広報活動をお願いしたい。
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