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日本における“循環型まちづくり”の姿を移動型施設や循環車などの展示で訴求日蘭アップサイクル建築・まちづくり展(3/3 ページ)

リスペクトでつながる「共生アップサイクル社会」共創拠点 アップサイクル都市モデル分科会は、駐日オランダ王国大使館で「日蘭アップサイクル建築・まちづくり展」(会期:2024年3月5〜6日)を開催した。分科会の活動内容の紹介や“循環型まちづくり”に関する各種展示が行われた。

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参画企業/大学が資源循環を象徴するパネルやモビリティを展示

 回収した資源を活用したパネルの提案は他にも見ることができた。放電精密加工研究所は、国産杉の端材などを活用した木粉55%と、ダンボールの梱包(こんぽう)などで用いられるポリプロピレン(PP)製のバンドをリサイクルした緑色再生PPを混合溶融したバイオマスコンポジット材を用いて、3Dプリンタで製作した苔養生用パネル「バイオマスコンポジット苔パネル」を展示していた。

バイオマスコンポジット苔パネル1バイオマスコンポジット苔パネル2 放電精密加工研究所が製作した「バイオマスコンポジット苔パネル」。(左)苔を養生する前のパネル/(右)苔を実際に養生した状態のパネル[クリックで拡大]

 三菱ケミカルは「リサイクルアルポリック壁パネル」「PMMAリサイクル壁パネル」を展示していた。リサイクルアルポリック壁パネルは、表面のアルミと芯材の樹脂からなる3層構造のアルミ樹脂複合材「アルポリック」の再生利用を提案したもので、表面のアルミと芯材の樹脂を独自技術によって再生利用できる点をアピールしていた。一方、PMMA(アクリル樹脂)リサイクル壁パネルに関しては、コロナ禍で普及した飛沫防止用アクリルパネルを回収して切り出した壁パネルと、ケミカルリサイクルを施して再生した壁パネルを訴求していた。

リサイクルアルポリック壁パネルPMMAリサイクル壁パネル 三菱ケミカルの展示。(左)「リサイクルアルポリック壁パネル」/(右)「PMMAリサイクル壁パネル」[クリックで拡大]

 さらに、慶應義塾大学は壁パネルと同じ400×400mmサイズの屋根パネルを展示していた。こちらは樹脂製の人工芝パネルを主原料としており、洗浄、粉砕し、リペレット化したものを3Dプリントして製作した「人工芝パネルアップサイクル 屋根緑化パネル」だ。植物の根を定着させつつ水を通すことに特化した「透水層A」、土を保持しつつ水を通すことに特化した「透水層B」、余分な水の排水に特化した「排水層」の3つのパーツで構成されているのが特徴だ。

人工芝パネルアップサイクル 屋根緑化パネル3つのパーツで構成されている樹脂製の人工芝パネル (左)「人工芝パネルアップサイクル 屋根緑化パネル」/(中央)3つのパーツで構成されている/(右)主原料となった樹脂製の人工芝パネル[クリックで拡大]
詰め替えパック由来の材料から作られた屋根用の採光パネル
詰め替えパック由来の材料から作られた屋根用の採光パネル[クリックで拡大]

 また、慶應義塾大学では洗剤などの使用済み詰め替えパック(協力:花王)を主原料とする屋根用の採光パネルも展示。模様が描かれたパネルのフレーム部と光を透過するフィルムの双方で詰め替えパック由来の材料が用いられている。3Dプリンタで片方のフレームを造形し、フィルム敷いて超音波溶着し、再度フィルムの上からもう片方のフレームを造形することで、「接着剤を使用することなくフレームとフィルムを接合している」(説明員)という。

 その他、大成ロテックによる間伐材などを原料とするウッドファイバーとウレタン樹脂を混合して成型した木質パネル(床用パネルは200×200mm)「ウッドファイバーパネル」の展示、オカムラが製品化した環境素材を用いて3Dプリンタで製造したオフィス家具、TOPPANによる使用済み紙おむつから作ったパルプボードなどの展示を見ることができた。

大成ロテックの「ウッドファイバーパネル」オカムラのオフィス家具 (左)大成ロテックの「ウッドファイバーパネル」/(右)オカムラの環境素材を用いて3Dプリンタで製造したオフィス家具[クリックで拡大]

 また、屋外スペースではヤマハ発動機の「循環車」が展示されていた。街を巡回しながら資源を回収したり、アップサイクルしたものを届けたりするスローモビリティとして、ゴルフカートを再生して使うことを想定した循環車の試作品の他、フロント部に大きなカゴを備えた電動カーゴバイクも循環車の一例としてアピールしていた。

循環車の試作品電動カーゴバイク ヤマハ発動機は「循環車」の試作品などを屋外スペースに展示。(左)ゴルフカートを再生して使うことを想定した循環車の試作品/(右)電動カーゴバイク[クリックで拡大]

 「アップサイクル都市モデル分科会では、ゼロウェイステーションの設計と試作を進め、実物をお見せすることで、市民や自治体、企業の対話の場を創出し、“循環型まちづくり”の実現に近づけていくことを目指す」(説明員)。同分科会は、2024年夏ごろをめどにゼロウェイステーションを試作した後、2030年アップサイクル都市の実現に向けて“新たなまちづくり”を開始することを目標に掲げている。

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