川重の2足歩行ロボットが“魔改造”、サンドイッチマンロボも大インパクト――iREX2023サービスロボットレポート:2023国際ロボット展レポート(4/4 ページ)
コロナ禍明けで以前の賑わいが戻ってきた「2023国際ロボット展(iREX2023)」。本稿では、サービスロボットゾーンの展示を中心にレポートする。近年の目玉になっている川崎重工業の2足歩行ロボット「Kaleido」はさらに進化を遂げ、人機一体による“魔改造版”も登場。サンドイッチマンならぬ「サンドイッチロボ」も注目を集めた。
将来は工場で4足ロボットが活躍する?
前回のiREX2022では、川重のヤギ型ロボットが注目を集めていたが、今回、アールティのブースでは、4足ロボットのモックアップ展示が行われていた。同社のヒューマノイドロボット「Bonobo」の外装で作ったもので、発売は未定なものの、4足なのでペダルを踏む作業でも安定する他、背中での運搬も期待できるということだった。
アニメ風の人型ロボットがブースを案内
山洋電気のアンバサダーとして、ブースの案内をしていたのがHatsuMuvの自律人型フィギュア「ハツキ」。HatsuMuvは、早稲田大学 尾形哲也研究室発のスタートアップである。まるでアニメから飛び出てきたような身長145cmのロボットは、腰を後ろ側から支持。自由度は全27軸(本体+ハンド)あり、ダイナミックな動きが可能だ。
ロボットの動作は、ゲームエンジン「Unity」で制御。アニメーションデータからリアルタイムで動作を生成することが可能で、技術がない人でも、ロボットを簡単に動かすことができるという。顔はプロジェクションマッピングにより、リアルな表情を実現。将来的には固定設置ではなく、2足歩行までやりたいそうだ。
深層学習でトイレ掃除の動きを模倣
筑波大学のモーションコントロール研究室は、ロボットアームによるトイレ掃除のデモを行っていた。トイレ掃除は、便器の形状が複雑で、便座を上げたり、曲面にブラシを沿わせたりと、作業の難易度が高い。同研究室は、バイラテラル制御と深層学習を組み合わせ、安価なロボットでもこれを実現できるようにしたという。
人間が反力を感じながら、ロボットアームを遠隔操作し、その動きを学習させた。このロボットアームは教育研究用でギアのガタつきも大きいそうだが、トルク制御さえできれば、安価な製品でも適用可能。また、学習させる動作を変えれば、別の作業にもそのまま使え、パンケーキを皿に載せるデモの動きは、学生が1日で完成させたそうだ。
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