FPGAベースのSOMを搭載したビジョンAIボックスで新幹線の線路点検を自動化:組み込み採用事例
AMDのSOM製品である「Kria K26」を用いた線路点検の自動化ソリューションを、九州旅客鉄道が導入した。AIを活用し、徒歩による線路点検に比べて点検速度やコスト、精度が向上した。
AMDは2024年2月14日、同社のSOM(System-on-Module)製品である「Kria K26」を用いた線路点検の自動化ソリューションを、九州旅客鉄道(JR九州)が導入したことを発表した。AI(人工知能)を活用し、徒歩による線路点検に比べて点検速度やコスト、精度が向上した。
JR九州では、1455マイル(約2300km)以上の距離を最高時速161マイル(約260km)で新幹線が走行している。そのため、安全性を優先しつつ、定期的に線路点検を実施する必要がある。
そうした線路の点検精度を高めるため、Tokyo Artisan Intelligence(TAI)のAMD搭載ソリューションを採用。高速画像処理と高度なAI機能を駆使し、ボルトの緩みなど線路のさまざまな問題を検出して判定する。
ソリューションの核となるのは、時速12マイル(約19km)で線路を点検するカートに取り付けたビジョンコンピューティングボックスだ。ボックスには、前後のデータや画像を処理するAIの機能を強化するため、FPGAベースのKria K26を用いた高速カメラを搭載している。これによりカメラ画像の高速処理が可能になり、日本の厳格な鉄道安全要件を満たしつつ、点検効率を向上できる。
また、Kria 26を搭載したソリューションは、JR九州の地域性や乗客のニーズなど、日々変化する状況にも対応する。自然環境の中に設置する鉄道にとっては重要な能力となるため、将来の投資にもつながるとしている。
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