自動運転車用シミュレーター「DRIVE Sim」と「AVxcelerate Sensors」を統合:CAEニュース
Ansysは、NVIDIAのAV(自動運転車)用シミュレーター「NVIDIA DRIVE Sim」と同社の「Ansys AVxcelerate Sensors」の統合を発表した。DRIVE Simユーザーは、AVxcelerate Sensorsで生成したセンサーシミュレーション出力へのアクセスが可能となる。
Ansysは2024年1月4日、NVIDIAのAV(自動運転車)用シミュレーター「NVIDIA DRIVE Sim」と、同社の「Ansys AVxcelerate Sensors」の統合を発表した。今回の統合によりNVIDIA DRIVE Simユーザーは、同年第1四半期から、Ansys AVxcelerate Sensorsで生成したセンサーシミュレーション出力にアクセス可能になる。
NVIDIA DRIVE Simは、ソフトウェアプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」で動作するシナリオベースのシミュレーターだ。AV開発向けの仮想試験場を構築し、カメラやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)、レーダーセンシング、制御システムの動作検証を実施できる。
Ansys AVxcelerate SensorsがNVIDIA DRIVE Simからアクセス可能になることで、高い予測精度を持つAnsysの物理ソルバーを、NVIDIAの3D仮想世界にシームレスに統合できる。これにより、NVIDIA DRIVE Simの3D環境を強化し、ADAS(先進運転支援システム)やAV知覚開発を向上させることができる。
AVxcelerate Sensorsライセンスを持つNVIDIA DRIVE Simユーザーは、時間とコストを低減しながら、AV知覚システムのパフォーマンスを開発、トレーニング、テスト、検証可能になる。また、NVIDIA Omniverseを使用することで、OpenUSDベースの3Dワークフローを開発できる。スケーラブルなシミュレーションの構築に加え、AI(人工知能)モデルのトレーニングに向けたデータファクトリーとしても機能する。
NVIDIA Omniverseを利用し、独自の合成データ生成パイプラインを構築して、搭載されたコンピュータビジョンモデルを訓練するアノテーションデータを生成できる。この統合ソリューションにより、重要な環境インタラクションを制限なくテスト、検証するプレイグラウンドを得ることができ、技術開発の促進を図れるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カシオが電子キーボードの鍵盤構造の変更にCAEを活用、その効果と展望
電子楽器開発で40年以上の歴史を誇るカシオ計算機は、グリッサンド奏法の操作性を維持するために採用してきた旧来の鍵盤構造を見直すべくCAEを活用。新たなヒンジ形状を導き出し、作りやすい鍵盤構造を実現することに成功した。その取り組み内容とCAE活用の展望について担当者に話を聞いた。 - フォークボールはなぜ落ちる? スパコンによる空力解析で謎を初めて解明
野球のピッチャーの決め球、フォークボールはなぜ落ちるのか? これまでボールの回転数が少ないことで自然落下による放物線に近い軌道を描くとされていたが、東京工業大学 学術国際情報センター 教授の青木尊之氏を代表とする研究チームがスーパーコンピュータ「TSUBAME3.0」による数値流体シミュレーションを実施し、その謎を初めて解明した。 - 「富岳」で新型コロナ飛沫の大量計算を実施、感染リスクはどこにある?
理化学研究所のスパコン「富岳」を用い、コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する飛沫の飛散シミュレーションが実施されている。理化学研究所が独自開発する流体シミュレーションソフトウェア「CUBE」による飛散シミュレーションの概要、注目すべき結果などについて、理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー/神戸大学大学院システム情報学研究科 教授の坪倉誠氏に話を聞いた。 - ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。 - シミュレーション主導設計の実現に向けた八千代工業の挑戦
八千代工業は、ダッソー・システムズ主催の「Dassault Systemes User Conference 2019」において、「CATIA、Abaqus、Isightを使った樹脂製燃料タンクの最適設計技術の構築と設計者展開」をテーマに講演を行った。 - 仮想実験室からデジタルツインへ、富岳が実現する自動車業界のCAEの形とは
ヴァイナスのユーザーイベント「VINAS Users Conference 2019」で、理化学研究所 計算科学研究センター・神戸大学大学院システム情報学研究科 計算科学専攻 チームリーダー・教授/博士(工学)の坪倉誠氏が登壇し、「HPCシミュレーションとデータ科学の融合による新たな自動車空力について」をテーマに講演を行った。