ニュース
量子アニーリングによる自動搬送ロボットの多台数同時制御の研究を開始:ロボット開発ニュース
シャープは、東北大学と共同で、量子アニーリングを応用した自動搬送ロボットの多台数同時制御に関する研究を開始した。2024年度中に試作機による実証実験を行い、2025年度中の実用化を目指す。
シャープは2023年12月19日、東北大学と共同で、量子アニーリングを応用した自動搬送ロボットの多台数同時制御に関する研究を開始したと発表した。2024年度中に試作機による実証実験を行い、2025年度中の実用化を目指す。
同研究では、物流倉庫における千台規模の自動搬送ロボットの最適経路を瞬時に計算できる高速計算機を開発する。高速計算機には、量子コンピューティング技術の1種となる量子アニーリングの計算方法を汎用コンピュータ上で模倣する「シミュレーテッド量子アニーリング(SQA)」技術を応用している。
従来は、自動搬送ロボットが1台増えるごとに最適経路の計算量は指数関数的に増加し、千台規模の一元管理には実用的でないほどの時間を要していた。一方、開発中の高速計算機は、通常の数百から数千倍の速度で計算でき、自動搬送ロボットの多台数同時制御が可能になる見込みだという。
シャープは、独自の集中制御システム「AOS(AGV Operating System)」により、既に最大500台までの自動搬送ロボットの同時制御を可能にしている。同研究では、自動搬送ロボット制御システムへの量子アニーリング技術の実装と実機試験を担当する。東北大学は、量子コンピューティング分野における有数の研究、教育機関で、同研究では量子アニーリングの応用技術と計算高速化技術に関する知見を提供する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- さまざまな家電の性能アップに貢献しているシャープの生物形態模倣技術
シャープは「CEATEC 2023」のアドバンスドテクノロジーエリアに出展し、15年の歴史を誇る同社独自の生物形態模倣技術「ネイチャーテクノロジー」の歩みと新プロダクトについて訴求していた。 - シャープのフロー型亜鉛空気電池、エネルギー密度はリチウムイオン電池と同等
シャープは「CEATEC 2023」において開発中のフロー型亜鉛空気電池を披露した。リチウムイオン電池と同程度のエネルギー密度を有するとともに大容量化が容易であり、発火の可能性が極めて低いことなどを特徴としている。 - シャープがキューブ型AGVを披露、最小道幅600mmを走行できる
シャープは、「リテールテックJAPAN 2021」において、小回りがきくとともに小型であることが特徴のCUBE型AGV(無人搬送車)を披露した。工場の表面実装(SMT)ラインや人手による組み立てラインの他、飲食店客席への配膳、倉庫のキッティング用途などに向けて提案する。 - シャープのAGV事業が成長する理由、コアは生産技術と集中制御システム
シャープのAGV(無人搬送車)事業が好調だ。2017年から本格的に外部販売を開始して以降、市場拡大以上のペースで順調に成長を続けているという。シャープのAGVへの取り組みについて、シャープ ビジネスソリューション事業本部 システムソリューション事業部 商品企画部 課長の井上克己氏に話を聞いた。 - シャープがAGV発売、タッチ操作で簡単にコース設定が可能
シャープは、自動搬送装置「AGV」の新モデル「TYPE LC」と専用ソフトウェア「Easy Course Editor」の受注を開始した。シンプルなタッチ操作で簡単にコース設定ができ、多彩なオプションで顧客のニーズに対応する。 - スマート工場提案を強化するシャープ、アシスト台車や画像センサーなど
シャープはB2Bの総合展示会ビジネスソリューションフェアを開催。同社のB2B商品、サービス、ソリューションを紹介。FAソリューション分野の製品では画像センサーカメラ、アシスト台車などの実機を出展した。