「2023年はITモダナイゼーションの潮目に」、国内企業が迎えるDX推進の分岐点:製造ITニュース(2/2 ページ)
PwCコンサルティングが「2023年DX意識調査−ITモダナイゼーション編」の結果について説明。今回の調査では、ITモダナイゼーション成熟度結果における「準先進」の比率が前回比25ポイント増の54%となるなど大幅な進歩が見られた。
「準先進」が大幅増も、「先進」との差はさらに広がる
このように準先進が大幅に増加している一方で、先進と準先進/その他の間ではデジタル技術の活用において大きなギャップが存在している。デジタル人材の育成/採用、更新頻度にひも付けられるアプリケーションの俊敏性に関する調査結果では、先進と準先進/その他の差は前回調査よりも広がっている状況だ。また、パブリッククラウドの活用効果では、米国の平均を上回るレベルで結果を出すなど日本の「先進」に当たる企業は、まさに先進的な成果を得ていることが明らかになった。
これらの他、先進と準先進/その他で50ポイント以上の差が出た、「パブリッククラウドの活用方針/戦略の策定状況」「CI/CDに関する導入状況」「アジャイル開発を採用した最も大きいプロジェクトの規模」「アジャイル開発を前提とした規定やルールの導入状況」「システム開発における自社の担当領域」「アジャイル推進における自社社員の担当領域」の調査項目も紹介された。PwCコンサルティング ディレクター クラウドトランスフォーメーションの鈴木直氏は「CI/CDによるシステム開発の自動化、大規模プロジェクトでのアジャイル開発採用、そしてシステム内製化という観点で大きな隔たりがある」と述べる。
そして、ITモダナイゼーションの阻害要因として挙がったのが「経営層/リーダー陣の理解不足」と「慢性化するデジタル人材不足」である。鈴木氏は「アジャイル開発やクラウドネイティブ技術の活用は現場がボトムアップで取り組んできたが、ボトムアップだけでは限界があってキャズムを越えられない。全社レベルで改革を広げて先進の段階に進むには、トップの強いリーダーシップが不可欠だ。また、デジタル人材不足は先進と準先進/その他に共通した課題であり、何でもかんでも内製化は難しい。積極的な外部活用を視野に入れながら、戦略領域で内製化範囲を広げるなどの取り組みが必要だ」と説明する。
今回の調査結果からは、ITモダナイゼーションのロードマップをステップ1〜4に分けると、ステップ2とステップ3の間に先進と準先進/その他を分ける大きな壁が存在することが見て取れる。鈴木氏は「壁を超えるには社内におけるデジタル人材の育成、トップの覚悟と強いリーダーシップが不可欠だ。成功体験を重ねられれば、そこから好循環が生まれITモダナイゼーションを加速させられるだろう」と述べている。
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