高機能フィルムの押出成形時の膜厚調整を機械化するロボット式完全自動化Tダイ:IPF Japan 2023
アクスモールディングは「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」において、ロボット式完全自動化Tダイを出展した。
アクスモールディングは「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」(2023年11月28日〜12月2日、幕張メッセ)において、ロボット式完全自動化Tダイを出展した。
アクスモールディングで製造しているTダイとは、高機能なフィルムやシートを作るために樹脂を押し出し、均一に薄く加工するための金型だ。こうして作られた高機能なフィルムやシートは、コンビニエンスストアで売られるおにぎりを包むフィルムや、スマートフォンやテレビの画面に貼られるシートとして使われている。
押出成形では樹脂を高温で融解し、Tダイに流し込むが、その際には0.1mm以下での厚みの精度が要求される。厚みの調整には金型のボルトを1本1本微妙に調整する必要があり、熟練の技術が必要となる。プラスチックを溶かすため非常に高温になっており、手作業ではケガをする可能性もある。
ロボット式完全自動化Tダイでは、モーターとヒートボルトユニットを用いて、厚さ調整を自動化した。モーターでボルトを動かすことで大まかに膜厚を調整し、そこから加熱ヒーターと空気冷却で伸縮するヒートボルトで金属を膨張させることで精密な調整を行う。
自動化することでデータが残るため、ノウハウの継承や品質管理の向上につながる。手動でボルトを1本ずつを調整していたのに比べて、立ち上げ時間を最大95%削減できるという。さらに調整中に消費される材料も削減できる。既に国内外で導入事例があるという。
さらにブースでは、ヒートボルトユニットを使わず、モーターだけで精密な調整まで行うモデルも初めて披露した。大まかな調整を行うモーターと、精密な調整を行うモーターで構成されており、ヒートボルトユニットの熱が樹脂に伝わるのを防ぐ。
その他、VR(仮想現実)安全教育も展示した。設備の3次元データを取り込むことで、現実に近い環境を仮想上に実機を用いなくても安全教育を行うことができる。1人称視点と3人称視点を選ぶことができ、1人称視点ではVRゴーグル、3人称視点ではコントローラーを用いて人を動かし、危険な箇所などを具体的に教育できる。
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