町工場の経営改革、どこから着手する? 中小製造業の経営者が対談:ワクワクを原動力に! ものづくりなヒト探訪記(10)(3/3 ページ)
本連載では、厳しい環境が続く中で新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は、製造業の経営改革に取り組む2社、影山鉄工所と藤恵工業の対談をお届けします。
「町工場も、もうかる方法がある」
――影山さんはもともとそのような経営知識を大学などで勉強しておられたのでしょうか?
影山さん いえ、会社を経営しながら勉強してきました。M&Aを実施しつつ、銀行の方々や周りの方々に教えていただきながら知識を身に付けていきました。
――経営セミナーや勉強会には参加されていましたか?
影山さん 最初の1年くらいは異業種交流会やセミナーなどに積極的に参加していましたが、それ以降はまったく参加しなくなりました。
――どうして参加しなくなったのですか?
影山さん セミナーや勉強会に出ても、そこには答えがないと感じたからです。答えはそれぞれの経営者の中にあるもので、自分で考えなければならないということが分かりました。
――伊藤さんはいかがですか?
伊藤さん 私も最近はあまり出ていません。しかし、基礎を身に付けるという意味で、勉強会などに参加することは有意義だと思います。他の経営者の話を聞いたり、目的を持ってセミナーに参加するのも良いと考えています。
影山さん 私も当初は1人で心細い時期がありましたので、仲間が欲しいと感じていました。会社の中にも相談できる人が少なかったです。そういう時期には異業種交流会などに参加するのも良いかなと感じます。
――中小製造業の方々に一言お願いします。
伊藤さん 町工場はもうからないと思っている方々が多い気がしますが、私の会社や影山鉄工所のみなさんのように、もうかる方法があると思います。私もご支援しますので、悩まれている方はご相談いただきたいと思います。
影山さん セミナーに出ても、勉強会に出ても、何もアクションしない場合が多いと思います。しかし、腹を決めて、一歩を踏み出しましょう。アクションしない会社が多い中、した会社は一歩前に出ることができます。やるべきことさえやれば、成功は付いてくると考えています。
あとがき
影山鉄工所のオフィスはフリーアドレスなのですが、毎日くじ引き(抽選)で席を決めているそうです。さまざまな部署の人たちがバラバラに座ることで、社員同士のコミュニケーションを活性化しているのだとか。
影山鉄工所の工場の入り口には、朝礼スペースとして生産管理システムが一覧できる大型モニターが4台並ぶスペースがあります。このモニターに生産計画と実績、出荷予定一覧などが表示されています。
この他にも影山鉄工所の取り組みにはたくさんの工夫があります。ぜひ中小製造業の皆さんに一度見ていただきたいと思う工場の1つです。
中小製造業が改革を進めるその先にあるのはどのような将来なのか、どういうことを目指して行くべきなのか、そういったことの示唆を得た1日でした。
(ものづくり新聞編集長 伊藤宗寿)
著者紹介
ものづくり新聞
Webサイト:https://www.makingthingsnews.com/
note:https://monojirei.publica-inc.com/
「あらゆる人がものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」をビジョンに、ものづくりの現場とつながり、それぞれの人の想いを世界に発信することで共感し新たな価値を生み出すきっかけをつくりだすWebメディアです。
2023年現在、100本以上のインタビュー記事を発信し、町工場のオリジナル製品開発ストーリー、産業観光イベントレポート、ものづくり女子特集、ものづくりと日本の歴史コラムといった独自の切り口の記事を発表しています。
編集長
伊藤宗寿
製造業向けコンサルティング(DX改革、IT化、PLM/PDM導入支援、経営支援)のかたわら、日本と世界の製造業を盛り上げるためにものづくり新聞を立ち上げた。クラフトビール好き。
記者
中野涼奈
新卒で金型メーカーに入社し、金属部品の磨き工程と測定工程を担当。2020年からものづくり新聞記者として活動。
佐藤日向子
スウェーデンの大学で学士課程を修了。輸入貿易会社、ブランディングコンサルティング会社、日本菓子販売の米国ベンチャーなどを経て、2023年からものづくり新聞にジョイン。
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