機能の拡張と絞り込みで協働ロボットを普及へ、ロボット展で新製品を世界初公開:2023国際ロボット展(2/2 ページ)
協働ロボット大手のユニバーサルロボットは「2023国際ロボット展」において、世界初公開となる新製品をはじめ、さまざまなアプリケーションを披露する。日本支社 代表の山根剛氏らに出展のコンセプトや今後の展望などを聞いた。
導入ロボットの10台に1台が協働ロボットに
国際ロボット連盟の統計では、2022年に世界で導入された約55万台の産業用ロボットのうち、約5万5000台が協働ロボットとなっており、前年比31%増という高い伸びを見せ、年間導入台数に占める割合が初めて10%を超えた。
「ロボットを含む生産財への投資に関しては逆風を感じるが、自動車の完成車メーカーやティア1企業からの引き合いは減っていない。半導体産業からの引き合いも引き続きある。食品、医薬品、化粧品の三品業界からはパレタイジングの需要が増えている。マシンテンディング、溶接、パレタイジングは世界的に見てもまだまだ自動化されておらず、市場規模が大きい。ユニバーサルロボットとして用途ごとにチームを作り、インタフェースを含めてどうすればユーザーが簡単に導入できるようになるかを研究開発している」(山根氏)
導入現場の拡大には、自動化システムを構築するシステムインテグレーター(SIer)との協力が欠かせない。ユニバーサルロボットの「UR認定SIer育成プログラム」にはこれまでに50社以上が参加しており、9社が「UR認定SIer」として認められている。このUR認定SIerの拡大も目指している。山根氏は「これまでの産業用ロボットと異なる協働ロボットのシステムを一緒に提案できるシステムインテグレーターが増えれば増えるほど、協働ロボットの市場も広がる」と考える。
販売代理店との協力も深めていく。各社にユニバーサルロボット専任のスタッフが置かれており、ユニバーサルロボットのスタッフがしっかりとトレーニングやサポートをしながら構築してきた。「彼らのノウハウと経験は大きい。協働ロボットの提案の幅が広がってきており、他社との差別化要素になっている」(山根氏)。
適切にリスクアセスメントを行えば安全柵なしでも使用できるのが協働ロボットの特長の1つだが、実際には安全柵の中で協働ロボットが稼働しているケースも少なくないというという。
「1つはサイクルタイムはそこまで早くないが、鋭利なワークを扱っているなどで安全のため柵で囲っているケース。もう1つは、会社の中で協働ロボットに対する安全規定がまだ定まっていないケースだ」(山根氏)
協働ロボットへの理解を広げるため、既存のユーザーと導入検討企業との交流の機会も増やしていく計画だ。
「製造業は今後もなくならない。ただ、携わる人がいろいろな理由で減ってきている。協働ロボットも現場に1台導入すれば済む話ではなくなっている。その中で、われわれはユーザーが使いながら自分たちで改善して、増やしていけるような提案をしてきた。来場者にはそういった点で、ユニバーサルロボットの協働ロボットとしての可能性を見ていただきたい」(山根氏)
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