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自動車内装部品に採用される一年生植物「ケナフ」で作ったラウンジチェアジャパンモビリティショー2023

トヨタ紡織は「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において、オフィス家具メーカーのイトーキと共同で開発した「ケナフラウンジチェア」を出品した。成長が早く、CO2の吸収能力に優れる一年生植物のケナフを原料としたチェアで、座面と背もたれ部分にケナフボードが用いられている。

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 トヨタ紡織は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:2023年10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)において、オフィス家具メーカーのイトーキと共同で開発した「ケナフラウンジチェア」を出品した。

写真左の細長く縦に伸びた植物がケナフだ。ケナフは主に東南アジアやインドなどで栽培されている一年生植物だ
写真左の細長く縦に伸びた植物がケナフだ。ケナフは主に東南アジアやインドなどで栽培されている一年生植物だ[クリックで拡大]

 ケナフラウンジチェアは、成長が早く、CO2の吸収能力に優れる(針葉樹の約7倍)一年生植物のケナフを原料としたチェア(イス)で、座面と背もたれ部分にケナフボードが用いられている。ケナフは収穫できる繊維の量が多く、天然繊維の中でも特に繊維引張強度が高いため、軽量化と高剛性の両立を実現しやすいサステナブルな素材として注目されている。

 トヨタ紡織では、2000年からケナフ繊維を用いた基材を自動車内装部品に採用するなど、クルマのライフサイクルCO2の削減、石油由来樹脂の使用量削減に向けて、ケナフを活用した製品開発を長年推進してきた。一方、イトーキはケナフの環境性能に着目し、ケナフを活用した新商品開発や石油由来樹脂からの置き換えなどの検討を進め、環境に配慮したモノづくりに取り組んできた。

 両社は、2021年8月にケナフを原料に用いた「業界初」をうたうオフィス家具を共同開発した実績もあり、今回のケナフラウンジチェアの開発もその一環となる。ちなみに、ケナフラウンジチェアと一緒に展示されていたテーブルの天板にもケナフボートが用いられており、こちらは「ミートラウンジ」という名称でイトーキが製品化(ケナフボードの天板をラインアップ)している。

トヨタ紡織の展示ブースでは「ケナフラウンジチェア」の他、ケナフボートを天板に採用したテーブル「ミートラウンジ」、スツールを展示していた。ケナフラウンジチェアの背座クッションの張り地には、反毛ワタ混リサイクル糸を使用しツイード調に仕上げた生地が採用されている
トヨタ紡織の展示ブースでは「ケナフラウンジチェア」の他、ケナフボートを天板に採用したテーブル「ミートラウンジ」、スツールを展示していた。ケナフラウンジチェアの背座クッションの張り地には、反毛ワタ混リサイクル糸を使用しツイード調に仕上げた生地が採用されている[クリックで拡大]

 共同開発の経緯と狙いについて、トヨタ紡織の説明員は「ケナフを自動車の内装部品以外にも展開できないかと考えていた際、サステナブルな素材としてケナフに関心を示していたイトーキから相談を受け、ケナフを活用した家具を共同開発するに至った。もともとケナフを自動車内装部品の意匠でも使ってみたいという思いもあり、今回のイトーキとのコラボレーションを通じて、ケナフの質感や風合いが意匠として消費者にどのように受け入れられるのか、われわれとしても興味深く見守っている」と語る。

ケナフの繊維とポリプロピレン繊維から作られたケナフマットを加熱、成形してケナフボードが作られる座面と背もたれ部分にケナフボードが用いられている (左)ケナフの繊維とポリプロピレン繊維から作られたケナフマットを加熱、成形してケナフボードが作られる/(右)「ケナフラウンジチェア」の座面と背もたれ部分にケナフボードが用いられている[クリックで拡大]

 トヨタ紡織では、インドネシアで栽培されたケナフの繊維(ケナフ繊維)とポリプロピレン繊維を解繊/混合してできたケナフマットを加熱、成形してケナフボードを作り、それを日本の工場に輸送して加工しているという。また、トヨタ紡織はケナフとポリ乳酸からなる100%植物由来部品や、ケナフ基材のプレス成形と同時に樹脂部品を射出成形するSBI(Simultaneous Back Injection)工法の確立、ケナフを用いた射出成形によるエアクリーナーケースなど加工技術の向上に取り組み、適用範囲の拡大に努めてきた。

 今回展示したケナフラウンジチェアの製作にもトヨタ紡織の成形技術が生かされており、イトーキの設計/製造技術、成形合板のノウハウとのシナジーによって、座る人の体重を支える強度を実現しているという。

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