騒音低減技術の基本「遮音」と「吸音」を理解する 〜吸音について〜:CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(17)(4/6 ページ)
“解析専任者に連絡する前に設計者がやるべきこと”を主眼に置き、CAEと計測技術を用いた振動・騒音対策の考え方やその手順を解説する連載。連載第17回では、騒音低減技術の基本である「遮音」と「吸音」のうち、吸音について詳しく取り上げる。
点音源
図5のように、出力W[W]の点音源があり、それによる音が四方八方に広がって伝わる状態を考えます。このような音波を「球面音波」と呼びます。
出力W[W]の点音源をデシベル表示にします。次式で音源の出力レベルPWL(パワーレベル/power level)が定義されています。空冷機器の室外機などのデータシートを見ると、その機器が出す騒音が周波数ごとにパワーレベルで表現されています。
音響インテンシティは、単位面積を通過する音のエネルギーでした。球の表面積は4πr2なので、半径r[m]の位置の音響インテンシティIは簡単に次式で求まります。音響インテンシティIはベクトル量でした。音のエネルギーは距離の二乗に従って小さくなります。これを「距離減衰」と呼びます。
球面音波の場合は導出が難しいですが、重要な関係式があります。次式です。
式18に式19を代入します。音圧は距離に反比例して小さくなります。
半径r[m]の位置の音圧をデシベル表示しましょう。音圧レベルLpは次式となります。
式を変形し、式17を代入します。
音源のパワーレベルが分かっている場合、式22を使うことで距離r[m]での音圧レベルが分かります。
次式が成立すればLp=PWLになりますね。
音源から0.287[m]離れた位置の音圧レベルを騒音計で測定すると、それがパワーレベルとなり、それから音源の出力W[W]が求まります。
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