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騒音低減技術の基本「遮音」と「吸音」を理解する 〜吸音について〜CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(17)(3/6 ページ)

“解析専任者に連絡する前に設計者がやるべきこと”を主眼に置き、CAEと計測技術を用いた振動・騒音対策の考え方やその手順を解説する連載。連載第17回では、騒音低減技術の基本である「遮音」と「吸音」のうち、吸音について詳しく取り上げる。

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 そして、次に紹介する吸音材の効果予測に使うため、等価吸音面積(吸音力)Aについて説明します。図4に、壁に吸音材を貼った部屋を示します。部屋の吸音力Aは式11で定義されます。

壁に吸音材を貼った部屋
図4 壁に吸音材を貼った部屋[クリックで拡大]
式11
式11

 この部屋の残響時間はW.C.Sabineの残響式(参考文献[3])で求めることができます。

式12
式12

 式12を変形し、このときの残響時間をT1とします。残響室なので吸音率α1〜α4は小さな値です。

式13
式13

 今、第1の壁に吸音率αの吸音材を貼ったとします。このときの残響時間をT2とすると吸音力は次式となります。

式14
式14

 JIS規格(参考文献[2])をよく読むと、「この式には、試料で覆われる室表面の面積は考慮されない」との一文があります。つまり、α1S1を無視するということです。α1は小さな値なので大丈夫ですね。次式となります。

式15
式15

 式14から式15を引き算し、数値を代入します。

式16
式16

 JIS規格の式6を導出できました。

 吸音率と吸音材面積の積が吸音力Aであり、これが大きいほど残響時間が短くなります。また、部屋の音圧レベルが低くなります。

参考文献:

  • [2]日本規格協会|残響室法吸音率の測定方法|JIS A 1409(1998)
  • [3]小橋豊|基礎物理学選書4 音と音波|裳華房(S62)

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