TXOneがOTセキュリティの新コンセプト「CPSDR」を提唱、製造業の価値軸を重視:産業制御システムのセキュリティ(2/2 ページ)
TXOne Networks Japanは、同社が展開するOT(制御技術)セキュリティ製品の新たなコンセプト「CPSDR」を説明するとともに、このCPSDRに基づいて開発した新製品を紹介した。
正常状態を学習するフィンガープリント技術などで機器を守る
このCPSDRに基づいて開発したのがセキュリティ検査の「Elementシリーズ」、エンドポイント保護の「Steller」、ネットワーク防御の「Edgeシリーズ」、これらのOTセキュリティソリューションを統合的に管理できるプラットフォームの「SageOne」である。
Elementシリーズは、USBドングル型でセキュリティ検査対象機器にソフトウェアをインストールする必要のない「Portable Inspector」、外部ネットワークとつながっていない閉域網である工場へのマルウェア侵入の要因となっているUSBメモリなどのリムーバブルメディアの検査を行う「Safe Port」、Elementシリーズ全体の統合管理ダッシュボートの「ElementOne」から構成されている。
Portable Inspectorは、一般的なITセキュリティソリューションのようなエージェントソフトウェアのインストールが不要でありシステムの再起動も行う必要がない。このため、運用の安定性に影響を与えることなくOTシステムの状態を検査できる。半導体、自動車、医薬品、航空など各産業のトップ企業をはじめ、これまでに3600社に採用されているという。Safe Portは、リムーバブルメディア検査を行うだけでなく、接続したPortable InspectorのログをElementOneにアップロードしたり、マルウェアパターンファイルをアップデートしたりといった、Portable Inspectorの活用を広げるデバイスとしても活用できる。そしてElementOneは、単なるダッシュボートの機能にとどまらず、集約した情報を基に取引先への安全性証明となるマルウェアフリーレポートをPDF形式で出力することもできる。
Stellerの最新版となるSteller 3.0は、Windowsシステムの制御機器に組み込むエンドポイント保護ソフトウェアだ。OSがWindows 7以降のモダンOTデバイスと、Windows XPやWindows 2000といったレガシーOTデバイスを自動で判別し、それぞれの端末の環境に適したエージェントソフトウェアを自動的にインストールする機能を備えており、ある欧州の自動車メーカーはこれによって複数のウイルス対策ソフトのライセンスを含めた管理の悩みから解放されたという。
この他Steller 3.0では、CPSDRに基づく新機能となる「Operations Behavior Anomaly Detection」を搭載している。エージェントが機器の正常状態を学習して、それをフィンガープリント(指紋)として記憶した上で、これをベースラインに予期せぬ振る舞いや逸脱を検出するという機能だ。正常状態を学習は、数日〜1週間で完了するという。
Edgeシリーズはネットワークセキュリティ機器であり、CPSDRに合わせた新製品としては「Edge V2シリーズ」を用意している。2ポート/1ペアのミッドレンジ製品から、96ポート/48ペアのハイエンド製品までそろえる。通過するパケットを一定期間収集して自動でファイアウォールのルールを生成/適用する「オート・ルール・ラーニング機能」を備えており、ある顧客ではこれまでルール作成に6カ月かかっていたところを1週間に短縮でした実績があるという。また、IT向けネットワークセキュリティ機器よりも幅広いOTプロトコルをサポートするとともに、コマンドレベルの詳細な検査も行えるようになっている。
なお、CPSDRベース製品の発売日は、Portable InspectorとElementOne、Steller 3.0、Edge V2シリーズは2023年10月5日、Safe PortとSageOneは2024年1〜3月期である。また、「SEMICON JAPAN 2023」(2023年12月13〜15日、東京ビッグサイト)に出展し、各製品の新機能をデモを交えて紹介する予定だ。
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