2年間で売上高4倍に、産業向けセイバーセキュリティ専門企業の国内向け戦略:産業制御システムのセキュリティ
TXOne Networksは2022年8月9日、日本市場向けの戦略について発表した。TXOne Networksは2018年11月にトレンドマイクロと台湾のMOXAが共同で設立した産業制御システム向けのセキュリティソリューションの専門企業で台湾を本社としている。2022年4月15日に日本法人を設立し、日本市場での本格参入を開始した。
TXOne Networksは2022年8月9日、日本市場向けの戦略について発表した。TXOne Networksは2018年11月にトレンドマイクロと台湾のMOXAが共同で設立した産業制御システム向けのセキュリティソリューションの専門企業で台湾を本社としている。2022年4月15日に日本法人を設立し、日本市場での本格参入を開始した。
工場のスマート化などが進みネットワークを前提とした仕組みが製造現場に入り込んでくる中、これらの産業制御領域を狙ったサイバー攻撃が増加している。トレンドマイクロの調査によると、日本の製造業の9割以上(91.3%)が、サイバー攻撃によるOT(制御技術)システムの中断を経験しており、その内4割は4日間以上中断しているとしているという。
TXOne Networks CEOのテレンス・リュウ(Terence Liu)氏は産業制御システム向けのサイバーセキュリティが重要になっている理由として「1つ目はDX(デジタルトランスフォーメーション)やインダストリー4.0の進展によりデジタル化が進展していること、2つ目はランサムウェアにより製造業を標的とする動きがハッカーの中でも増えているということ、3つ目が製造業の防御態勢が十分でないことがある」と語っている。
これらの状況を受けてTXOne Networksでは設立後、約3年間活動してきた。「毎年売り上げは3倍ペースで成長している。社員数も設立当初の60人から200人まで増えた。また350社以上の大企業がソリューションを活用してくれている」と手応えについて述べている。
TXOne Networksの特徴は産業制御システム向けに特化しており、現場の運用を妨げずにセキュリティを確保できるという点である。具体的には、点検、エンドポイント保護、ネットワーク防御などの一連のソリューションを、学習、構築、プロセスなどの一連の工程で自動化して運用できる。特に自動車、電子機器、半導体、製鉄などの産業を重視しており、これらの領域で「日本企業との協力でベストプラクティスを開発していきたい」とリュウ氏は述べている。
国内向けは2年間で4倍成長を目指す
日本国内では従来はトレンドマイクロのパートナーなどを通じて関連ソリューションを展開してきたが、これらのパートナーを通じた展開に加え、ダイレクトセールスの強化やサプライチェーン攻撃への対応などを進めていく方針だ。
2022年6月1日にTXOne Networks Japan 代表執行役員社長に就任した近藤禎夫氏は「国内でも多くの企業からTXOne Networksが持つ各業界における知見を教えてほしいという声も多く、これらに応えベストプラクティス構築を推進していくためにもダイレクトセールスは重要な役割を担う。ただ、直接販売を行う形態はとっていないため、これらの対応を進めつつもパートナーとの協力によってエコシステムを構築することが重要だと考えている」と方針について述べている。
国内向け目標としては「来年度は今年度の2倍の売上高を目指す。さらにその次の年度も2倍を目指し、2年間で4倍に成長させる計画だ」と近藤氏は語っている。
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