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工場のレイアウト案の評価はそのまま生産効率に直結する現場改善を定量化する分析手法とは(4)(1/3 ページ)

工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第4回は、SLP法における「レイアウト案の比較評価」「完成したレイアウト計画の実行」について説明する。

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 前回に引き続き、図1に示した「レイアウト案の作成から実行までの手順」のうち「6.レイアウト案の比較評価」〜「8.完成したレイアウト計画の実行」について解説します。なお、レイアウトに関する分析手法の解説は今回で終了となります。

図1
図1 レイアウト案の作成から実行までの手順

 これまでの連載の繰り返しになりますが、レイアウトに関する分析手法の中心として説明していますSLP(Systematic Layout Planning)法は、工場の基本計画から設備配置までの広範なレイアウトの課題に対応できる基本となる手法ですが、対象のレイアウトの規模に関係なく同じ方法で計画が可能であるという特徴があります。できるだけ手順を省略しないで基本に沿って忠実に進めていくことが大切です。

⇒連載「現場改善を定量化する分析手法とは」バックナンバー

1.レイアウト案の比較評価

1.1 レイアウト案の評価手順

 図1に示したSLP法の手順に従い、前回までに紹介した「5.レイアウトの素案」で幾つかのレイアウト案を作成しましたので、次の段階では最適な案を選び出す方法として、それぞれの案を比較評価して検証していく必要があります。

 同一課題に対する複数のレイアウト案を、目的ごとの項目別で定量的に評価することになりますが、素案の中からよりよい案を選択するためには、その評価項目と評価基準をあらかじめ明確にしておかなければなりません。一般的には、表1の手順で進められます。また、評価項目には、生産性や費用など定量的な評価項目と満足感や容易性などの定性的な評価項目があります。この手法の用途としては、レイアウト案の評価選択、レイアウト案の作成指針、各種複数案の評価選択などが挙げられます。

手順番号 評価手順の内容
1 まず、評価者を選定します。ある程度の専門知識を持った数人のグループで行うことが良いとされています
2 同一課題に対する複数の評価すべきレイアウト案を並べます。レイアウトの狙いごとに各案を作成すると評価の差が明確になります
3 課題に対応した複数の評価項目を選び設定します
4 設定した評価項目ごとに、課題からみた重み付け(W:Weight)を決めます
5 各レイアウト案について、評価項目ごとに距離、費用、効果などの内容を定量的(評定値)に記入します
6 評価項目ごとに記入内容を見ながら、10点満点方式で得点(S:Score)を付けます
7 ウエイト(W)とスコア(S)を掛け算して評点を求めます
8 評価項目ごとの評点の合計が、その案の評価点となります
9 採用された案をさらに検討を行い、修正などを加えて実行案として作り上げていきます
表1 レイアウト案の評価手順

 また、簡便的なスコアの設定方法として、ほとんど完全、極めて良好、良好、普通、不備など、定性的なスコアを用いることもあります。

1.2 レイアウト評価の例

 表2は、3つのレイアウト案についての評価結果を示したものです。この例では、表1のレイアウト案の評価手順7に示す通り、ウエイト(W)にスコア(S)を乗じた評点の合計がいちばん高いC案が最適な案として選定されます。

表2
表2 レイアウト評価の例[クリックで拡大]

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