トヨタなど国内自動車メーカー8社がメタバースゲームを展開、クルマの楽しみを訴求:製造マネジメントニュース
メタバースプラットフォーム「cluster」を運営するクラスターは、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)、マツダ、三菱自動車工業の国内自動車メーカー8社と共同でメタバースゲーム「爆創クラブ」をリリースしたことを発表した。
メタバースプラットフォーム「cluster」を運営するクラスターは2023年9月22日、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)、マツダ、三菱自動車工業の国内自動車メーカー8社と共同でメタバースゲーム「爆創クラブ」をリリースしたことを発表した。
クラスターはメタバースプラットフォームを展開している2015年創業の新興企業だ。特に法人向けで多くの実績を持つことが特徴で、年間200社以上が利用している。製品プロモーションや、自治体などによるまちづくりへの活用、音楽イベントなどで活用されてきた。これらの数多くの取り組みを進める中でクラスター CEOの加藤直人氏は、「メタバースの本質はモノづくりだ」と訴える。
「メタバースは『こんな世界があったらいいのに』や『こんな自分になれたらいいのに』をかなえることができることが本質だ。つまり、こうした願望に応じた世界や自分自身を“作る”楽しみが最も重要だ」と加藤氏は説明する。こうした考えを発展させ「こんな乗り物があったらいいのに」ということをメタバースで実現するために2023年初にトヨタ自動車とまず東京オートサロン内で協業し、出展車両などをメタバース空間で体験できるサービスを用意した。
そして、今回このトヨタ自動車との枠組みをさらに発展させ、自動車メーカー8社と協力したメタバースゲームをリリースした。新たにリリースした「爆創クラブ」はバーチャル空間内で自分だけのクルマを“走って、創って、共有する”が楽しめるメタバースゲームだ。国内自動車メーカー8社の23車種をベース車両とし、走って得られたアイテムによりオリジナルのクルマを作り上げることができる。好きなパーツを組み合わせて作ったオリジナルカーは展示空間で共有することも可能だ。トヨタ自動車 ビジネスデザイン部 部長 中嶋孝之氏は「通常クルマの3Dデータは機密性が高く社外に出さないものだが、今回は各社に賛同いただき快く提供してもらうことができた。実際のクルマの3Dデータを基にして作られたベース車種が使えることも魅力だ」と語る。
今回の「爆創クラブ」プロジェクトでは「若い世代にクルマそのものに興味を持ってもらう」ということを主目的としている。クルマをゲームなどのデジタルコンテンツに落とし込もうとすると速さや走りなどの機能を追求しがちだが、今回はクルマにそもそも興味のない人にも関心を持ってもらうため、あえてリアルさを排除し、クルマに搭載できるアイテムも翼やシャチホコなどあえて現実離れしているものを用意した。また、車種によって速度やハンドリングなど出力での機能差が出ないようにしたという。「子どもたちなどでも楽しめるようにした」(中嶋氏)。
「爆創クラブ」は、まずは東京ゲームショウ2023での披露をメインターゲットとしたが、今後について中嶋氏は「詳細はまだ決まっていないが、今後もこれをベースにさらなる発展を検討するとともに、メタバースの世界でクルマの魅力を訴えていけるような新たな枠組みなども検討していく」と語っている。
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