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東芝がドイツで新たな技術拠点を開設、コア技術を応用した新技術の創出を狙う製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

東芝は、同社グループが経営方針で掲げる「デジタル化を通じたカーボンニュートラル/サーキュラーエコノミー」の実現を加速するため、ドイツのデュッセルドルフに新しい技術拠点「Regenerative Innovation Centre」を開所したと発表した。

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今後は年間数億円の予算で規模の拡張あるいは人員の採用などを実施

 超軽量小型高出力超電導モーターの試作機は、最高出力は2MWを誇り、通常のモーターと比べて10分の1以下の軽量化と小型化を実現している他、大型モビリティが備えている化石燃料駆動エンジンの電動化にも対応している。「現在、航空機や船舶への実装に向け取り組みを進めている」(佐田氏)。

 再エネ発電量/電力需要予測システムは、気象予測シミュレーションに基づき正確に再エネ発電機器の発電量と需要を予測でき、東京電力ホールディングス主催の「第1回電力需要予測コンテスト」で最優秀賞を、同ホールディングスと北海道電力が共同開催した「太陽光発電量予測技術コンテスト「PV in HOKKAIDO」でグランプリを受賞している。


超軽量小型高出力超電導モータの試作機と再エネ発電量/電力需要予測システムの概要[クリックで拡大] 出所:東芝

 省イリジウム水素製造技術は、P2G向けで、同社が独自開発した酸化イリジウムナノシート積層触媒を用いた電極により、PEM(固体高分子膜)水電解装置で使用するイリジウムの量を従来品と比較して10分の1に抑えられる。加えて、同社は同触媒を1回で最大5m2成膜化できる技術を開発しており、電極の大型化にも対応している。「省イリジウム水素製造技術の可能性については欧州コミュニティーの中で話し合いを行い探っていきたい」(佐田氏)。

 P2CによるCO2資源化技術は、化学プラントなどから排出されるCO2からメタノールや酢酸を生成でき、独自の触媒電極とセルスタック技術を採用することで、世界トップクラスのCO2変換速度を達成している。さらに、CO2電解セルを積層することで、大量のCO2を処理できる。


省イリジウム水素製造技術とP2CによるCO2資源化技術の概要[クリックで拡大] 出所:東芝

 また、今回の施設では、EUと英国に渡る欧州全域の有力大学/研究機関と連携するハブ機能も担う。既に、ドイツのアーヘン工科大学やブッパタール研究所研究所とアドバイザリーパートナーシップを締結している。


ドイツのアーヘン工科大学やヴッパータール研究所とアドバイザリーパートナーシップを締結[クリックで拡大] 出所:東芝

 今後、欧州内での実証プロジェクトや連携/事業パートナーの取り組みに応じて、欧州各国/地域における新技術拠点のサテライトオフィスの設置も検討する。なお、欧州で開発/実証した社会実装モデルを欧州だけでなく他地域にも展開する見込みだ。佐田氏は「今後、数年間は、年間数億円の予算で施設規模の拡張あるいは人員の採用などを行ってく見通しだ」とコメントした。

欧州で新技術拠点を開設した背景と施設名称の意味

 新技術開発拠点の場として欧州を選んだ理由としては、「グローバルスタンダードの発信地」「充実したシステムアップ/エコシステム」「潤沢な資金投下と手厚い政策の裏付け」を挙げている。

 グローバルスタンダードの発信地では、欧州域外へ影響力が及ぶ仕組みによる欧州発ルールのグローバルスタンダード化、規格/標準化のリードを紹介し、具体的なルールの例として、カーボンニュートラルを目的とした炭素国境調整メカニズム(CBAM)、サーキュラーエコノミーに向けたEU電池規則/電池パスポートを示している。

 充実したシステムアップ/エコシステムでは、強い応用/システム指向の存在や潤沢な資金に裏打ちされた高いレベルのハード/デジタル開発/検証の環境が、さまざまなシステムの機能向上につながっているとした。

 潤沢な資金投下と手厚い政策の裏付けでは、米国と同様の大きなESG(環境、社会、ガバナンス)投資や気候変動対策に対する積極的な政府歳出があるとしている。

 施設名称のRegenerativeは再生という意味があり、東芝では、地球環境や社会にプラスの影響を及ぼし、より良い状態にすることを目指した取り組みを行う場に適し、気候変動や自然資本喪失などのリスクが顕在化する中、中立的表現である「Sustainable(持続可能)」を超える前向きな言葉として注目したという。


施設の名称でRegenerativeを採用した理由[クリックで拡大] 出所:東芝

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