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DXを妨げる「ノウハウ/ヒト/カネ」不足、組織横断のデータ共有が進まぬ製造業ものづくり白書2023を読み解く(3)(4/5 ページ)

日本のモノづくりの現状を示す「2023年版ものづくり白書」が2023年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2023年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。

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デジタル技術活用企業は人材育成も積極的

 モノづくり企業におけるデジタル技術の導入/活用に向けた人材育成について、前述のデジタル技術活用企業とデジタル技術未活用企業が、近年、資源投入をしている取り組みは「設備投資の増強」に次いで「採用・人材育成の強化」「賃金など処遇の改善」の順になっており、設備だけではなく、人材にも資源を投入している(図11)。また、その割合は、デジタル技術未活用企業より、デジタル技術活用企業の方が高くなっている。


図11:近年、資源投入をしている取り組み(複数回答)[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 デジタル技術活用企業がデジタル技術の活用を進めるために強化した経営・人事施策の取り組みをみると、「会社全体のデジタル技術活用促進に向けた意識改革」「経営層のデジタル技術活用に向けた理解の促進」「会社のデジタル技術活用方針の説明・明確化」が多くなっている(図12)。


図12:デジタル技術の活用促進のために強化した経営・人事施策の取り組み(複数回答)[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 デジタル技術活用企業におけるデジタル技術の活用に向けたモノづくり人材確保の取り組みでは、「自社の既存の人材に対してデジタル技術に関連した研修・教育訓練を行う」「デジタル技術に精通した人材を中途採用する」の順に多く、中途採用として社外から人材を確保する企業もあるものの、社内の人材を育成することに注力している企業がより多い(図13)。


図13:デジタル技術の活用に向けたモノづくり人材確保の取り組み内容(複数回答)[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 さらに、デジタル技術活用企業を対象に、デジタル技術の活用に向けた自社の既存の人材に対する育成の取り組み内容をみると、「会社の指示による社外機関での研修・講習会への参加」「社内での研修・セミナーの実施」の順に多く、OFFJT(Off the Job Training:業務外での教育/研修)によって人材育成が進められていることが多いことがうかがえる(図14)。


図14:デジタル技術の活用に向けた自社の既存の人材に対する育成の取り組み内容(複数回答)[クリックして拡大] 出所:2023年版ものづくり白書

 次に、デジタル技術活用企業が、デジタル技術の活用促進のために実施したOFFJTのうち、デジタル技術に特化した内容をみると、「実施していない」が最も多いものの、「一般的なデジタル技術に関する知識・技術の習得」「デジタル技術の自社への導入・活用・応用」といった取り組みを実施している企業もある(図15)。


図15:デジタル技術の活用促進のために実施したOFFJTのうち、デジタル技術に特化した内容(複数回答)[クリックして拡大]出所:2023年版ものづくり白書

 民間や公的な教育訓練機関に求めるデジタル技術に関連する研修をみると、デジタル技術未活用企業では、「デジタル技術そのものへの理解が深まる研修」が最も多く、デジタル技術を知ること自体が導入前の課題となっていることがうかがえる。デジタル技術活用企業と比較すると、「デジタル技術を使いこなすための研修(製品の操作等)」は半数程度となっており、「特にない」は倍以上となっている。

 一方で、デジタル技術活用企業では、「自社の目的・狙いに応じたデジタル技術が選択できるようになる研修(デジタル技術を使った経営戦略等)」「デジタル技術を使いこなすための研修(製品の操作等)」の順に多く、デジタル技術導入後の段階として、さらなる活用につながる人材育成の必要性を感じていることが推察される(図16)。


図16:民間や公的な教育訓練機関に求めるデジタル技術に関連する研修(複数回答)[クリックして拡大]出所:2023年版ものづくり白書

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