DXを妨げる「ノウハウ/ヒト/カネ」不足、組織横断のデータ共有が進まぬ製造業:ものづくり白書2023を読み解く(3)(3/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2023年版ものづくり白書」が2023年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2023年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。
デジタル技術の導入において、ノウハウ/ヒト/カネが課題
モノづくり企業における、デジタル化に対応した人材の確保/育成についても見ていきたい。まず、モノづくりの工程/活動においてデジタル技術を活用している企業(以下、デジタル技術活用企業)の推移をみると、2019年は49.3%と5割弱だったが、2020年は54.0%、2021年は67.2%と増加傾向にある(図7)。
デジタル技術活用企業が活用しているデジタル技術の分野は「CAD/CAM」が最も多く、次いで「生産管理システム」となっている(図8)。デジタル技術活用企業の多くが、設計や製造、生産管理の工程をデジタル技術の活用により効率化し、製品の品質や生産性の向上を図っていると考えられる。
デジタル技術活用企業における、デジタル技術を活用した工程/活動における人材配置や異動での変化については「そのままの人員配置で、業務効率や成果が上がった」という回答が52.3%となっている。加えて、「労働時間が減少した」「経験の浅い社員や若手を配置しやすくなった」という回答も一定数あり、デジタル技術の活用による業務効率化を通じて、働き方や人材配置にもプラスの影響があったことが推察される(図9)。
次に、デジタル技術を活用していない企業(以下、デジタル技術未活用企業)がデジタル技術を活用しない理由をみると、「導入・活用に関するノウハウが不足しているため」「導入・活用できる人材が不足しているため」「予算の不足など経済的に導入・活用が難しいため」が上位3つとなっており、デジタル技術の導入段階において、ノウハウ/ヒト/カネの課題があることが分かる。また、それらに次いで「導入・活用することによる効果が不明なため」という回答が多く、デジタル技術を活用するメリットが理解されていない場合には、それ自体がデジタル技術導入のハードルになり得ると考えられる(図10)。
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