パナソニックEW、サプライヤーの被災状況などを迅速に把握する独自手法確立:製造IT導入事例
富士通は、パナソニック エレクトリックワークス社が、富士通のサプライチェーンリスク管理サービスを活用して独自のサプライチェーン運用手法を確立したと発表した。
富士通は2023年8月30日、パナソニック エレクトリックワークス社(パナソニックEW)が、富士通のサプライチェーンリスク管理サービスを活用した独自のサプライチェーン運用手法「ES-Resi.(イーエスレジ)」を確立したと発表した。
パナソニックEWは、自社のサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性への対策として、富士通のサプライチェーンリスク管理サービスを導入。これをベースにして2021年11月に、独自の運用手法「ES-Resi.」を確立した。有事における情報収集力向上や、取引先との情報連携、サプライチェーン上の潜在リスクの顕在化や事前対策に取り組んできた。
富士通はこれまで製造業企業に対して、サプライヤーの被災状況の迅速な把握や、代替調達先選定による安定供給などに貢献。そのノウハウを生かして、ES-Resi.の定着化を支援した。
ES-Resi.は、サプライヤーの供給体制におけるリスクを事前に洗い出す。また、震度5強以上の地震や、大雨警戒警報レベル4以上の気象庁データなどを自動的に取り込み、災害や事故などの予測が難しい事象による部品調達への影響度を把握できる。
「Microsoft Teams」のチャット機能を活用して、有事の際にサプライヤーの被災状況を速やかに把握し、生産計画の見直しや代替調達の検討が可能になる。災害アラートとして、災害情報をリアルタイムに国内外に展開することも可能だ。
さらに、商品カテゴリーごとに重要品目を選定し、全拠点がリスク対策状況を共有サプライチェーンツリーで事前に登録することで、全社規模のリスク対策状況を一元的に可視化できる。
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