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災害支援ロボットは“ダミヤン”を救えるのか!?――レスコン2023レポートロボットイベントレポート(3/3 ページ)

2023年8月11〜12日に神戸サンボーホールで開催された「レスキューロボットコンテスト2023」の概要と結果をお届けする。コンテスト参加チームの災害支援ロボットは要救助者ロボット“ダミヤン”を救えるのか!?

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全身にセンサーを内蔵した「ダミヤン」

 要救助役のダミヤンは、全身にセンサーが内蔵されたロボットだ。ダミヤンの体力は時間経過とともに減っていくが、前述のように支援物資が届けられると回復する。

 救助の際に強い力で握られたり、首に負荷が掛かったりするとダミヤンは痛みを訴え、フィジカルポイントが減少する。ダミヤンの痛みは、オペレーションルームと会場に用意されたダミヤンインジケーターに可視化される。

 これにより観客はダミヤンに感情移入して競技を見守ることになる。ダミヤンの上にあるガレキをロボットが除去する際にはハラハラするし、ガレキがダミヤンにぶつかると会場から「あぁっ!」と悲鳴が上がっていた。

救助したダミヤンに痛みや振動を与えないように素早く搬送しなければならない
救助したダミヤンに痛みや振動を与えないように素早く搬送しなければならない。首に負荷が掛かると、ダミヤンが痛がる[クリックで拡大]
ダミヤンの状況や救助タスクの進捗などが一目で分かる「ダミヤンインジケーター」
ダミヤンの状況や救助タスクの進捗などが一目で分かる「ダミヤンインジケーター」。ピンクダミヤンが首の痛みを訴えている[クリックで拡大]
ダミヤンの身長は20〜30cm
ダミヤンの身長は20〜30cm。全身にセンサーを内蔵しており痛みを感じると、フィジカルポイントが減少する[クリックで拡大]
出動ロボットの台数に制限はない
出動ロボットの台数に制限はない。しかし、オペレーターは2人に限定されているため、複数ロボットをどのように制御するのか、工夫が求められる[クリックで拡大]

レスコン2023の優勝チームは?

 2023年は全国から20チームの応募があり、同年6月に開催されたオンライン予選を経て14チームが本選に出場した。

 レスコンの中で最も名誉あるレスキュー工学大賞(計測自動制御学会特別賞)は大阪工業大学 梅田ロボットプログラミング部の「UP-RP(ウーパールーパー)」が受賞した。

 レスコンに参加するチームは、自らのレスキューコンセプトを検討し、それを実現するためのアイデアをシステム設計し、ロボットによるベストなレスキュー活動を実現しなければならない。これが大会における一番の目的である。同チームは1号機「ロミオ」と2号機「ジュリエット」を用いてレスキュー活動を行った。

 ロミオの外装は、ガレキを撤去するブルドーザーモード、ダミヤンを優しく助ける救助モード、ダミヤンを守るガードモードになる。前方のカバーをあけると、内部にダミヤン救助用アーム、ガレキ除去用アームがあり、状況に応じた救助を行う。

 ジュリエットは、階段昇降に適した6脚歩行ロボットで、今回のベストロボット賞に選ばれた。「センサーを搭載し、ロボットが状況を判断しながら不整地や溝を安定して走行できるように改良したい」と、UP-RPのチームリーダーが今後の抱負を述べていた。

UP-RPの1号機「ロミオ」
UP-RPの1号機「ロミオ」。ブルドーザーモードで、ガレキを撤去中[クリックで拡大]
UP-RPの2号機「ジュリエット」がベストロボット賞を受賞した
UP-RPの2号機「ジュリエット」がベストロボット賞を受賞した[クリックで拡大]
レスキュー工学大賞を受賞したUP-RP(大阪工業大学 梅田ロボットプログラミング部)のメンバー
レスキュー工学大賞を受賞したUP-RP(大阪工業大学 梅田ロボットプログラミング部)のメンバー[クリックで拡大]

 コロナ禍で2021年のレスコンは中止になった。2022年は予選をオンラインで開催し、本選の来場者を絞るためにオンライン中継を導入した。コロナ禍の厳しい状況の中で、レスコンの競技や運営をリニューアルした主催者の努力と熱意に敬意を払いたい。

 レスコンは見どころが多い競技だが、正直、会場で観戦しやすいとは言い難い。これまでは、ロボットとガレキの位置やフィールドの壁により、活動が見えないもどかしさを感じることが多かった。フィールド上を見ているよりも、公式カメラが大画面に映し出す映像を見ているほうが分かりやすい場合も多々ある。

 コロナ禍でレスコンのオンライン化が進み、全国どこからでも競技をリアルタイムで観戦できるようになったのは、喜ばしいことだ。

 次回の2024年も今回と同様のスケジュールでレスコンが開催される。会場へ足を運べない方も、ぜひオンラインでロボットたちの救助活動を応援してほしい。そして地震や水害が絶えない日本で、「どのように防災や減災に取り組むべきか?」「日頃から自分にできる備えは何か?」……これらのことを考える機会としてはいかがだろうか。

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