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製造業でも使える国産LLM搭載の業務支援AIサービス、β版を提供開始人工知能ニュース

AI insideは2023年8月3日、自社開発の大規模言語モデルを搭載したAIエージェント「Heylix」をクローズドβ版として提供開始すると発表した。

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 AI insideは2023年8月3日、自社開発の大規模言語モデル(LLM)を搭載したAIエージェント「Heylix(ヘイリックス)」をクローズドβ版として提供開始すると発表した。自然言語に加えて画像などを使ってタスクを指示することができる。

在庫管理システムと基幹システムをつなぐ役割も

 Heylixは業界や業種を限定せず、汎用性の高い業務支援を可能とするAIアシスタントサービスとして設計されている。マルチモーダル形式のためテキストの他にも画像や数値などさまざまな形式のデータをアップロードして、その上で自然言語によってタスクを設定し、AIに実行させることができる。AI insideは2023年6月に日本語に対応した140億パラメータのLLMサービス「PolySphere-1」を発表しており、Heylixにも同技術が活用されたことでマルチモーダル処理が可能になった。


Heylixのユーザーインタフェース[クリックして拡大] 出所:AI inside

 Heylixではタスクごとに「Buddy」と呼ばれるスレッド形式のマルチモーダルAIを作成し、自然言語でタスクを設定していく。例えば、「PDF形式の財務諸表をOCRで読み込み、データを構造化してJSON形式で出力してほしい」と依頼したとする。該当するファイルをアップロードすると、Heylix側で処理が行われ、指定の形式で結果が出力される。財務諸表のデータを基に融資可能な金額の推定やその根拠などを提示させることも可能だ。

 なお、AI-OCRの機能に関して、Heylixは請求書や登記簿、財務諸表など非定型のさまざまなフォーマットに対応している。AI insideが培ってきた、事前学習なしで多様な形式の帳票読み取りに対応できるAI-OCRの技術に、LLMを組み合わせることでさらに対応可能な幅が広がったという。

Heylixを使った保険解約率の予測デモ [クリックで再生] 出所:AI inside

 またHeylixは、AI insideが展開するAIによるデータ分析を実現する基盤「Any Data」とも連携できる。Heylixに与えたテーブルデータを基に、Any Data上の予測モデルを呼び出して分析させることが可能だ。また、他のSaaSアプリケーションなどともAPI連携して、出力結果を受け渡しするといったこともできる。AI inside 代表取締役社長 CEOの渡久地択氏は「Heylixを通じてこの世のあらゆるソフトウェアを自然言語で自律的に動かせるようになる。果てしない可能性があると考えている」と強調した。

 BuddyはHeylixのユーザー間でシェアすることもできる。AI insideはBuddyを作成する人を「Buddyアーキテクスト」と呼称し、これを2023年度末までに1000人に増やすことを目標として掲げる。

 渡久地氏は製造業でのHeylix活用の想定ユースケースとして、「2種類の図面の差分を抽出したり、注記事項を抽出してアウトプットし、他の社内システムと連携させていくこともできる。発注が必要な部品を推定して処理する他、在庫管理のシステムを基幹システムとつなぐ役割を担わせることも考えられる」と説明した。

 また同氏はHeylixのサービスを通じた展望にも触れて、「当社の調べた中では、ビジネスパーソンの中で生成AI/LLMについて知っている割合は56%程度で、さらにこれらを継続利用していると回答したのは全体の8%にすぎなかった。働き手が減少し生産性向上が急務といわれる中、残りの92%にもHeylixの展開を通じてLLMを利用しやすい環境を提供していきたい」と語った。

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