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米欧中で異なる生成AIへの規制動向、日本企業はどう向き合うべきなのか人工知能ニュース(1/2 ページ)

PwC Japanグループは2023年7月24日、生成AIなどを含めたAI法規制を巡る各国の動向に関する発表会を開催した。

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 PwC Japanグループは2023年7月24日、生成AI(人工知能)などを含めたAIの法規制を巡る、各国の動向を解説する発表会を開催した。日本と米国、EU、中国の現状を整理して紹介した。

日本企業はどの規制レベルに対応すべきか

 現在、生成AIをはじめAIに関する各国の規制の取り組みは、必ずしも足並みがそろっているとはいいがたい状況にある。例えば、2023年に開催されたG7広島サミットでは、AIガバナンスに関する国際的議論のための枠組みとして「広島AIプロセス」を年内に創設することで合意した。しかし、一方で首脳宣言の文言内では「信頼できるAI」の実現に関するアプローチや政策手段がG7諸国間で異なる可能性が指摘されている。


生成AIなどを巡る各国のスタンスは必ずしも一致していない[クリックして拡大] 出所:PwC Japanグループ

 AI規制に対する姿勢が各国で異なる状況は、グローバルに事業活動を展開する日本企業にとって注意すべき事柄だ。PwCコンサルティング トラストコンサルティング サイバーセキュリティ&プライバシー ディレクターの上杉謙二氏は「各国で考え方にばらつきがあるが、その中で日本企業はどの規制レベルに対応すれば良いか考えなければならない。低いレベルに合わせると、その他の国の基準に合わせるための法令対応コストがかさみかねない」と指摘する。

違反企業に重い制裁金課すEU

 上杉氏は特に日本、米国、EU、中国の4つの国と地域におけるAI規制動向の情報を整理して紹介する。同氏は国家、地域としてのAI規制に対する全体的なスタンスについて、法律で厳格に規制するEUと中国を「ハードロー型」、罰則のないガイドラインなどで対応する日本と米国を「ソフトロー型」と位置付ける。


日米欧中のAI規制動向を大まかに整理[クリックして拡大] 出所:PwC Japanグループ

 ハードロー型のEUと中国の動向から見ていきたい。EUでは2021年に、AIに関する同域内での包括的で統一的なルールを定める「EU AI規制法案」を欧州委員会で提案するなど、AIの国際的な規制づくりを早期から進めてきた。同規則では対象となるAIのリスクレベルに応じて利用条件などが設定されている。中でも潜在意識への操作や社会的スコアの利用など、「禁止」対象となるAIシステムを利用した企業には、4000万ユーロ(約62億円)か全世界売り上げの7%という重い制裁金が課せられるとされる。同規則は2026年から施行される見込みだ。


EU AI規制案[クリックして拡大] 出所:PwC Japanグループ

 提案段階ではあるがAIシステムに起因する損害に対応し得る「EU AI責任指令」や、欧州市場でのAIシステム開発などに関する標準を定めた「EU AI規則に関する調和の取れた標準」などの議論も進んでいる。日本企業が開発したAIもEU域内の市場で使用する場合は規制対象になるため、これらの規制への対策が必要になる。


EUのAI規制動向[クリックして拡大] 出所:PwC Japanグループ

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