eスポーツで磨いた性能をVRなど遠隔制御に展開、オムロンがスイッチを世界販売:FAニュース
オムロンは操作用マイクロスイッチの「D2FC」「D2LS」「D2FP」を2023年8月からグローバルで販売すると発表した。VR(仮想現実)などを活用した遠隔制御向け操作機器などでの利用を主に想定している。
オムロンは2023年8月1日、操作用マイクロスイッチの「D2FC」「D2LS」「D2FP」を同月からグローバルで販売すると発表した。VR(仮想現実)などを活用した遠隔制御向け操作機器などでの利用を主に想定している。2026年3月末までにグローバルで2000万個の販売を目指す。
これまではゲーミングマウス向けに展開、大きなシェアを獲得
「D2FC」「D2LS」「D2FP」自体は既存の製品で、2010年以降に大手メーカーのゲーミングマウス向けに提供されてきた。同社によれば、ハイエンドのゲーミングマウス向けでは40〜50%のシェアがあるという。
1999年に発売された「D2FC」はメカ接点によるオン/オフ機能で、現在はクリック耐久回数500万〜6000万回まで幅広いラインアップを備えている。2013年発売の「D2LS」は「D2FC」を約70%サイズダウンした派生機種で、基板表面に実装するタイプとなっている。2022年発売の「D2FP」も「D2FC」の派生機種だが、オン・オフ機能に光センサー方式を採用しており、接点が接触した時に短時間で微細な振動が起こるチャタリングを防止。7000万回の高耐久性も達成している。
性能向上の背景には、近年のeスポーツの人気の高まりがある。eスポーツのプレーヤーからは「スイッチの押し心地が試合の勝敗を左右する」との声が寄せられている一方、それぞれの理想の押し心地の表現は異なっており、製品への落とし込みが困難だった。そこで、設計数値の異なるスイッチを搭載した複数のマウスと押し心地を言語化した感性ワードを準備し、プレーヤーへのアンケートを実施。人間工学に基づき、感性ワードと設計値を関連付けて長時間の高頻度使用でも疲れにくい優れた操作性を実現した。
また、通常のマウスに比べてユーザーがゲーミングマウスに求める耐久性は飛躍的に増加している。オムロンでは、これまで難しかったCAEの活用による複雑なスイッチの動きと疲労のシミュレーションを再現することに成功し、製品寿命を予測して性能を担保することが可能になった。CPU、USBの進化とともにゲーミングマウスでも応答速度の高速化が必須となり、「D2FP」は光センサー方式を採用することで、応答速度を従来の5msから0.015msに短縮した。
これらの性能を今後拡大が見込まれる遠隔VR機器などに展開を図る。5Gなど通信技術の進化もあり、生産現場だけでなく一般のサービスにおいても遠隔制御のニーズは高まっている。長時間にわたるストレスのない安心、安全な操作にスイッチを通して貢献する。
2026年3月末までにグローバルで遠隔制御機器向けに年間2000万個の販売を目指す。現状はほぼ全量をマウス向けに供給しているが、そのうち20%を遠隔制御機器向けで占めるようにする。
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