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オムロンが最新卓球ロボットで体現する融和、人と人をつなぐオートメーション協働ロボット(1/2 ページ)

オムロンは京阪奈イノベーションセンタ(京都府木津川市)においてラウンドテーブルを開催し、同社の技術開発や具現化の方向性、研究子会社であるオムロンサイニックエックスの活動内容などに関して説明した。今回は前編として最新の卓球ロボットのコンセプトや同社が目指す人と機械との関係性などを紹介する。

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 オムロンは2023年6月15日、京阪奈イノベーションセンタ(京都府木津川市)においてラウンドテーブルを開催し、同社の技術開発や具現化の方向性、研究子会社であるオムロンサイニックエックス(東京都文京区)の活動内容などに関して説明した。今回は前編として、オムロンが開発している最新の卓球ロボットのコンセプトや同社が目指す人と機械との関係性などを紹介する。

機械が人の可能性や人間らしさを引き出すオートメーションへ

オムロンの京阪奈イノベーションセンタ
オムロンの京阪奈イノベーションセンタ[クリックで拡大]出所:オムロン

 京阪奈イノベーションセンタは各地に分散していた研究開発部門を集める形で、グローバルR&Dの拠点として2003年に設立された。現在は350人ほどの研究員が所属し、オムロンのコア技術である「Sensing & Control+Think」を中心に研究開発に取り組んでいる。

 かつて京都府長岡京市にあったオムロンの中央研究所では、研究者同士がすれ違い、コミュニケーションをしやすくする仕組みとして壁を極力少なくした大部屋方式を導入しており、京阪奈イノベーションセンタにも受け継がれている。研究所を貫くように置かれた通路のプロムナードも、研究員が出勤や食事などで行き交うことで意図しない出会い、コミュニケーションを促す仕掛けとなっている。プロムナードの壁はホワイトボードになっており、議論の際などに活用できる。

 オムロンは2015年に米国の産業用ロボットメーカーのAdept Technologyを買収しており、技術開発を担うロボティクス開発センタを米国に擁している。2018年にはオムロンサイニックエックスを設立しており、この3拠点を中心に最先端の技術研究を行っている。

 オムロンは、長期ビジョン「Shaping the Future 2030」においてカーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸という、自社の強みが生かせる3つを社会的課題として捉えているが、同社が長期的な経営の羅針盤として置いているのが、創業者の立石一真氏が1970年に提唱した「SINIC理論」だ。


SINIC理論による未来予測[クリックで拡大]出所:オムロン

 SINIC理論では科学と技術、社会との関係と相互の影響を円環論的に表し、20世紀から21世紀にかけて社会が機械化社会、自動化社会、情報化社会、最適化社会、自律社会へと順に変容すると予測している。SINIC理論はオムロンサイニックエックスの社名の由来にもなっている。

現状の生成AIは知ったかぶり? ずれの修正を図る


オムロンの諏訪氏

 オムロン 技術・知財本部長 兼 オムロン サイニックエックス 代表取締役社長の諏訪正樹氏は「立石は『経営者の仕事は未来を語ること』と語っていたが、ここにある最適化社会というのは、まさに今のSociety5.0、IoT(モノのインターネット)社会そのものだ。今、世界中で機械と人の関係が劇的に変化しようとしている。代表例が、ChatGPTに代表される生成AIだ。ただ、私が専門技術領域についてChatGPTに質問すると、答えには専門家しか分からない、まったくうその内容も交じっている。自信満々に知ったかぶりをするという危険な側面を持つ方向で進化している。創業者の企業哲学などの観点からすると、目指すべき方向から技術の進化がずれてきていると感じており、SINIC理論が示す航路とのずれを修正する技術を生み出していくことが、われわれの1つの役割になる」と語る。

 オムロンでは、機械にできることは機械に任せ、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきとの創業者の考えに基づき、機械が人の作業を担う代替、機械が人とともに働く協働、機械によって人間らしさを引き出す融和の3段階で、人と機械の関係性とオートメーションの拡張を目指している。

 オムロンのコア技術を生かして、同社が目指す人と機械の未来である、人の可能性を引き出す融和を訴えかける手段として開発されたのが、卓球ロボット「FORPHEUS(フォルフェウス)」だ。

オムロンが目指す人が活きるオートメーション
オムロンが目指す人が活きるオートメーション[クリックで拡大]出所:オムロン
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