SaaS対応の3D CAD「Creo+」はオンプレ版「Creo」と何が違ってどこが良い?:CADニュース(1/2 ページ)
PTCジャパンは、2023年5月に発表したSaaS対応の3D CADソリューション「Creo+」に関するメディア向け技術説明会を開催した。
PTCジャパン(以下、PTC)は2023年7月21日、同年5月に発表したSaaS(Software as a Service)対応の3D CADソリューション「Creo+」に関するメディア向け技術説明会を開催した。
PTCは現在、2019年11月に買収したOnshapeの技術をベースに構築したクラウド基盤「Atlas」プラットフォームを中核とするSaaS戦略を強化しており、SaaSへのシフトが先行するエンタープライズ領域と同様に、製品開発領域においてもあらゆる働き方に対応できるSaaSソリューションの展開を進めている。
AtlasプラットフォームをコアとするSaaSソリューションとして、PTCはWebブラウザで動作するフルクラウド3D CADソリューションの「Onshape」の他、2020年12月に買収したArena SolutionsのSaaS型PLMソリューション「Arena」を展開。同時に、AR(拡張現実)ソリューションの「Vuforia」やPLMソリューションの「Windchill」など、PTCがこれまでオンプレミス環境向けに提供してきた既存ソリューションのSaaS対応/Atlasプラットフォーム統合も順次進めている。
ちなみに、同社既存ソリューションのSaaS対応製品は「Vuforia+」「Windchill+」といったように、製品名の後に「+」の文字が追加されている。
Creo+とは? オンプレ版との違いや特長について
Creo+は、PTCがこれまで展開してきたオンプレミス版の3D CADソリューション「Creo」をSaaS対応したもので、「Creoのパワーと実績のある機能が、新しいクラウドベースのサービスと組み合わさったCADソリューションの進化版」(PTCジャパン 製品技術事業部 副事業部長 執行役員の財前紀行氏)として位置付けられている。
Creo+の最大の特長は、Onshapeで定評のあったマルチユーザーによるリアルタイムなコンカレント(同時並行)設計やライセンス管理など、クラウドベースならではの機能が使える点だ。さらに、Atlasプラットフォーム上でのシンプルなデータ管理や、Windchill+に代表される他のSaaSソリューションとの統合などが容易に行える点もCreo+の特長といえる。なお、Creo+はオンプレミス版Creoのデータをそのまま変換なしに扱うことができる。
肝心のCAD機能に関しては、Creo+とオンプレミス版Creoとの間で基本的に差はなく、「同じソースコードをベースに構築した同等の機能を提供する」(財前氏)としている。PTCは既存ソリューションのSaaS対応/Atlasプラットフォーム統合を進めると同時に、SaaS版と同じソースコードベースで構築した、Creo、Windchill、Codebeamer、Vuforia、ThingWorxなどのオンプレミス版ソリューションの提供も継続して行っていく方針である。
説明会では、Creo+によるリアルタイムコラボレーション設計の様子をデモを交えて紹介。3Dモデルへの編集権限の付与/共有、リアルタイムの同時編集やシミュレーションの実行、ブランチによる別案の検討とマージなど、コンカレント設計が非常にスムーズに行える様子を示した。
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