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PTCが2023年CADを取り巻く5つのトレンドを発表、5月にはSaaS版「Creo」もCADニュース(1/2 ページ)

PTCジャパンは「2023年のCADトレンド」に関する記者説明会を開催し、製品開発における5つのトレンドと、それらを踏まえたPTCのソリューションなどについて紹介した。

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 PTCジャパンは2023年3月24日、「2023年のCADトレンド」に関する記者説明会を開催し、製品開発における5つのトレンドと、それらを踏まえたPTCのソリューションなどについて、米PTC Creo CAD 事業部門 ディビジョナル バイスプレジデント&ゼネラルマネジャーのBrian Thompson(ブライアン・トンプソン)氏が紹介した。

米PTC Creo CAD 事業部門 ディビジョナル バイスプレジデント&ゼネラルマネジャーのブライアン・トンプソン氏
米PTC Creo CAD 事業部門 ディビジョナル バイスプレジデント&ゼネラルマネジャーのブライアン・トンプソン氏[クリックで拡大]

 トンプソン氏は2023年のCADを取り巻くトレンドとして「シミュレーション駆動型設計の採用」「新興技術によるイノベーションの実現」「製品開発におけるデジタルスレッドの推進」「クラウドコンピューティング/SaaS(Software as a Service)の活用」「トレーニングへの投資」の5つのキーワードを挙げ、順番に説明した。

シミュレーション駆動型設計の採用

 1つ目に挙げたトレンドは「シミュレーション駆動型設計の採用」だ。シミュレーション駆動型設計とは、CAEによるシミュレーションの実施プロセスを、従来のように設計プロセスの後に行うのではなく、設計プロセス(設計サイクル)の中に組み込むことで、生産性や品質を向上させ、より革新的な設計の実現につなげていくためのアプローチだ。

 「設計の早い段階から繰り返しシミュレーションを活用したいというニーズは増えている。ただ、設計プロセスの中で、設計者が解析専任者に解析を依頼するといったやり方では設計作業がいったん停止してしまう。それが設計プロセスにおけるシミュレーション活用の障壁の1つとなっていた」(トンプソン氏)

 さらに、解析前に設計した3Dモデルをコピーして解析用にモデルを簡略化する作業が発生したり、その簡略化もどのレベルまで実施したらよいか判断が付かなかったりなど、解析準備のための手間やノウハウに関する課題もある。また、どのタイミングで解析に回すべきかが分からず、結果的に設計の終盤で解析に回すケースも多く見られる。

 「こうした課題がある中でも『このままではダメだ』と考えている企業を中心に、シミュレーション駆動型設計で製品開発を進めたいというニーズは高まっており、2023年はその動きがさらに加速するとみられる。PTCはAnsysとのパートナーシップにより、設計者でも自信をもって解析が行えるツールを提供している。設計品質の向上、時間やコストの削減につなげ、浮いたリソースをより革新的な製品開発、イノベーション創出に役立てることが可能になる」とトンプソン氏は説明する。

シミュレーション駆動型設計について
シミュレーション駆動型設計について[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

 具体的には、PTCの3D設計ソリューション「Creo」上で構造解析や流体解析などのリアルタイムシミュレーションが行える「Creo Simulation Live」、Creoから「Ansys Mechanical」のソルバーを活用できる「Creo Ansys Simulation」が挙げられる。いずれもCreoに統合されており、シームレスに設計と解析のサイクルを回すことができる。

シミュレーション駆動型設計を支えるPTCのソリューション
シミュレーション駆動型設計を支えるPTCのソリューション[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

新興技術によるイノベーションの実現

 「新興技術によるイノベーションの実現」では、ジェネレーティブデザインの活用を挙げる。ジェネレーティブデザインとは、AI(人工知能)を用いてコンピュータが最適な形状を自動生成してくれる設計アプローチだ。設計者が指定した材料や製造方法、拘束条件などを基に、人間では思い付かないような有機的かつ合理的なデザインを生み出してくれる。また、対応する製造方法も、特にそのメリットが引き出しやすい3Dプリンタ(アディティブマニュファクチャリング)だけでなく、切削加工や鋳造といった従来の加工方式もサポートする。

 PTCのCreoではジェネレーティブデザイン機能として、「Generative Topology Optimization Extension」の他に、クラウドベースの「Generative Design Extension」を用意している。

ジェネレーティブデザイン機能を提供するPTCのソリューション
ジェネレーティブデザイン機能を提供するPTCのソリューション[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

 「ジェネレーティブデザインについても、2023年のトレンドの1つになるとみている。条件を満たす最適な形状をコンピュータが素早く導き出してくれるため、設計期間を15〜20%程度短縮できるケースもある。さらに、軽量化や材料使用量の削減といったサステナビリティの観点からもジェネレーティブデザインは非常に注目を集めている」(トンプソン氏)

 ジェネレーティブデザインを活用したユーザー事例として、トンプソン氏は米国のエンジンメーカーであるCummins(カミンズ)を紹介。「カミンズでは環境サステナビリティ戦略を掲げており、PTCのジェネレーティブデザインの採用によって、既存部品の材料使用量を最大15%削減することに成功した」(トンプソン氏)という。

 さらに、アディティブマニュファクチャリングを最大限に活用したイノベーション創出にも注目が集まるとし、PTCではCreoに統合されたアディティブマニュファクチャリング向けの設計最適化や検証などが可能なソリューション「Creo Additive Manufacturing Extension」を提供する。トンプソン氏はAdvanced Engineering SolutionsがPTCのCreo Additive Manufacturing ExtensionとEOSの金属3Dプリンタを用いて製造したヘリコプター向け熱交換器の開発事例を取り上げ、「以前の熱交換器と比べて、約半分のサイズを実現すると同時に、冷却効率を4倍に引き上げることに成功した」と述べ、アディティブマニュファクチャリングの活用効果の一例を示した。

アディティブマニュファクチャリング向けの設計機能を提供するPTCのソリューション
アディティブマニュファクチャリング向けの設計機能を提供するPTCのソリューション[クリックで拡大] 出所:PTCジャパン

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