マーカーなしで3Dモデルの位置を合わせて部品情報を表示する技術を開発:VRニュース
NEDOは、ラティス・テクノロジーが「XVL Web3D Manager」のARオプション「XVL AR」を製品化したと発表した。マーカーなしで3Dモデルの位置を合わせ、部品の情報を3Dモデル上に表示できる。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2023年7月5日、ラティス・テクノロジーが、XVLファイルから3次元(3D)組み立て図などを作成してWebブラウザで閲覧可能にするツール「XVL Web3D Manager」のAR(拡張現実)オプション「XVL AR」を製品化したと発表した。
XVL ARは、NEDOの「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」の一環として、ラティス・テクノロジーが「製造工程間でのシームレスな連携を実現する3Dデジタルデータ連携ツール開発」に取り組み、開発したものだ。
ARを作成する際、一般的には実物にマーカーを配置し、スマートフォンやタブレット端末のカメラでマーカーを読み込んで3Dモデルと位置を合わせるが、マーカーの配置に手間が掛かる。
そこで、実物に向けてタブレット端末をかざすだけで位置を合わせ、3Dモデルを表示できるように、平面の自動認識技術や作業者の動作追跡機能を開発した。これにより、位置合わせ用のマーカーの配置など前処理なしで、現実世界の実物と3DモデルのARトラッキングが可能となる。
3Dモデルと現物の設計、製造情報を確認するには、現物と書類などを見比べる必要があり、デジタルデータを生かせていなかった。この課題解決に向け、現物、タブレット端末、3Dモデルの相対位置を検出する技術や、容易に位置合わせできるユーザーインタフェースを開発。3Dモデル上の部品を指定すると、その部品に関連する設計情報や組み立て時の注意事項をカメラ映像上に投影して確認できる。
ラティス・テクノロジーは今後、XVL AR技術をさらに進化させるため、スマートグラスを活用したAR表示の技術開発に取り組む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業こそ「メタバース」に真剣に向き合うべき
2022年は「メタバース」に関するさまざまな技術やサービスが登場すると予想されます。単なるバズワードとして捉えている方も多いかと思いますが、ユースケースをひも解いてみると、モノづくりに携わる皆さんや設計者の方々にも深く関わっていることが見えてきます。一体どんな世界をもたらしてくれるのでしょうか。 - 日産がMR技術活用で外観目視検査の作業習熟期間を半減、指導工数は9割減
オンラインイベント「製造・自動車業界DXフォーラム2021」において、日産自動車は「【日産自動車が進める生産現場のDX】 Mixed Realityを活用した早期作業習熟の実現」と題し、2021年10月に発表した「ニッサンインテリジェントファクトリー」の取り組みの1つである「MR(複合現実感)を活用した革新的作業指導」について紹介した。 - トヨタが挑戦するxRを活用したもっといいクルマづくりとサービス提供
オンラインイベント「Unity道場 自動車編」において、トヨタ自動車 サービス技術部 主幹の栢野浩一氏が登壇し、「トヨタのxR活用で進める現場DXへの挑戦 〜UnityとHoloLens 2を用いて〜」をテーマに、販売店への展開を中心としたサービス技術領域における「HoloLens 2」を活用した取り組みや、xR技術の試行事例などについて紹介した。 - 工場やオフィスなど現実空間を対象にARコンテンツをレイアウトできる技術
PTCジャパンはメディア向けラウンドテーブルを開催し、同社の産業向けAR(拡張現実)ソリューション「Vuforia Studio」が提供する空間コンピューティング「Area Targets(エリアターゲット)」の特長やその可能性について説明した。 - 3D CADで作った3Dデータを生かし切るVRとARの進化
AI(人工知能)と同じく2016年にブームを迎えたVR(仮想現実)。2017年以降、このVRが、製造業や建設業の設計開発プロセスに大きな変化を与えそうだ。AR(拡張現実)についても、「デジタルツイン」をキーワードに3D CADで作成した3Dデータの活用が進む可能性が高い。 - 「VR=仮想現実感」は誤訳!? VRの定義、「製造業VR」の現状と課題
製造業VR開発最前線 前編では、VRやAR、MRの概要、製造業向けVRの他の分野のVRとは異なる特徴、これまでの状況などを説明する。