ニデックがTAKISAWAをTOBで買収へ、完全子会社化で工作機械事業を強化:製造マネジメントニュース
ニデックは、工作機械メーカーのTAKISAWAをTOBにより買収すると発表した。この取引提案についてはTAKISAWAの取締役会に提示されているが、TAKISAWAの取締役会の判断によらず、2023年9月中旬をめどに公開買い付けを開始する意向だとしている。
ニデックは2023年7月13日、工作機械メーカーであるTAKISAWA(旧名:滝澤鉄工所)を株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。この取引提案についてはTAKISAWAの取締役会に提示されているが、TAKISAWAの取締役会の判断によらず、2023年9月中旬をめどに公開買い付けを開始する意向だとしている。
ニデックでは工作機械事業を新たな成長の柱として位置付けており、2021年に三菱重工工作機械(現:ニデックマシンツール)、2022年にOKK(現:ニデックオーケーケー)、2023年にイタリアのPAMAを買収しポートフォリオの拡充を進めてきた。さらにニデックでは日本の工作機械メーカーの数が多く国内での不要な競争が多いことから、グローバル競争力強化の意味で、シナジーが取れる領域における「連合」を想定し、業界再編を推進する方針を示している。
TAKISAWAは工作機械の内、旋盤を主力としており、従来のニデックのポートフォリオにない領域の製品を保有している。さらにニデックは欧州や米国に強い営業拠点を構えている一方で、TAKISAWAは中国や台湾を主力市場としており、生産拠点についても、TAKISAWAが保有していない欧州や米国、インドにニデックが生産拠点を保有している。これらの領域でシナジーが発揮できることから、ニデックでは買収提案を行うことを決めたという。さらに、ニデックの工作機械事業の売上高は、TAKISAWAの売上高を加えると、1000億円を超え、購買や生産の原価低減や営業力強化などにもつなげることができるとしている。
公開買い付け価格は1株当たり2600円としており、過去6カ月のTAKISAWAの株価平均(1221円)と比較とすると112.94%のプレミアムが付く形となる。公開買い付けの開始は2023年9月中旬を想定しており、期間は30営業日としている。ニデックでは、TAKISAWAの発行済み株式の過半数となる319万4100株以上の取得を目指す。TAKISAWAから公開買い付けの開始を延期する申し出がなされた場合でも「開始を延期する予定はありません」(リリース)としている。
ニデックでは2022年1〜3月にかけて、ニデックドライブテクノロジー(旧名:日本電産シンポ)との資本業務提携をTAKISAWAに提案していたが、これを断られた経緯があり、今回はさらに影響力を強める意味でTOBに踏み切った。なお、TAKISAWAではこのTOBに対する姿勢を調査後にあらためて表明するとしている。
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