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新車のグローバル生産が前年同月比14.5%増、半導体不足が緩和自動車メーカー生産動向(1/2 ページ)

2023年4月の自動車生産は、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数が3カ月連続で増加するなど、回復基調が続いている。国内、海外ともに前年実績を上回り、特に国内生産の増加が目立ち、半導体不足が緩和している様子が伺える。

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 2023年4月の自動車生産は、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数が3カ月連続で増加するなど、回復基調が続いている。国内、海外ともに前年実績を上回り、特に国内生産の増加が目立ち、半導体不足が緩和している様子が伺える。ただ、前年4月が中国のロックダウンによるサプライチェーンの混乱で大幅減産を余儀なくされたことも増加要因となった。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 8社合計の世界生産は、前年同月比14.5%増の190万539台だった。2桁パーセント増だが、4月の実績としては、半導体不足の影響が広がり始めた2021年と比べて8.6%減にとどまっており、本格回復とは言い難い。中でも海外生産の回復力が弱く、同9.8%増の122万164台と3カ月連続のプラスだったものの、2021年比では12.8%減と振るわなかった。中国は前年のロックダウンの反動で大幅増を記録したが、中国以外のアジアの低迷が響いた。

 一方、国内生産は、前年同月比24.1%増の68万375台と伸長し、4カ月連続のプラス。ダイハツ工業を除く7社が前年実績を上回った。前年はロックダウンにより中国からの部品供給が滞り生産調整を実施したため、反動増が表れた格好だ。2021年との比較でも微増を確保した。これを受けて国内販売の現場では一部の人気車を除き納期の短縮が進んでおり、今後の販売拡大が期待できそうだ。

2023年4月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 273,062 514,738 162,348 141,685 787,800
12.2 14.7 6.0 51.9 13.8
ホンダ 45,833 227,930 120,812 73,640 273,763
66.1 40.8 36.4 131.1 44.5
日産 60,387 179,633 82,231 47,489 240,020
100.7 1.4 12.5 14.5 15.8
スズキ 73,315 164,226 - - 237,541
4.3 ▲ 10.5 - - ▲ 6.4
ダイハツ 68,696 45,260 - - 113,956
▲ 13.3 ▲ 31.9 - - ▲ 21.8
マツダ 72,745 30,443 17,756 7,691 103,188
141.3 84.2 157.5 128.2 121.1
スバル 52,364 27,461 27,461 - 79,825
18.4 3.4 3.4 - 12.8
三菱自 33,973 30,473 - 0 64,446
46.2 0.9 - - 20.6
合計 680,375 1,220,164 410,608 270,505 1,900,539
24.1 9.8 17.9 50.4 14.5
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタ自動車の4月のグローバル生産台数は、前年同月比13.8%増の78万7800台と4カ月連続で前年実績を上回り、4月の世界生産として過去最高を更新した。このうち国内生産は、同12.2%増の27万3062台と4カ月連続のプラス。これは前年4月の部品供給不足の反動増に加えて、国内での受注好調を受けて国内市場向け車両の供給を増やしたことも理由で、このため輸出は0.5%減にとどまっている。

 海外生産も好調で、前年同月比14.7%増の51万4738台と3カ月連続で前年実績を上回った。4月の海外生産として過去最高となった。地域別では、北米は同6.0%増と2カ月ぶりに増加。半導体不足の影響は続いているが、前年と比べると部品供給が改善した。中国は、前年のロックダウンの反動で、同51.9%増と6カ月ぶりにプラスへ転じた。

 一方で中国以外のアジアでは、インドは前年同月比118.6%増と伸長したものの、インドネシアが同36.5%減、マレーシアが同22.9%減など、低迷が目立った。中国の大幅増によりアジアトータルでは同21.5%増と2カ月ぶりのプラスだった。欧州も前年の反動増により、同19.3%増と伸長した。

ホンダ

 ホンダの4月のグローバル生産台数は、前年同月比44.5%増の27万3763台で2カ月連続のプラスだった。これは前年4月が半導体不足や中国のロックダウンで前年比半減と低水準だった反動が表れた。海外生産は同40.8%増の22万7930台で、2カ月連続で増加した。

 最大市場の中国は前年同月比2.3倍と中国で生産する日系5社で最大の伸び率となった。その結果、アジアトータルでも同46.4%増と2カ月連続で前年実績を上回った。北米も前年の半導体不足の反動により、同36.4%増と4カ月連続のプラスだった。

 国内生産も、前年同月比66.1%増の4万5833台と大きく伸長し、3カ月連続で前年実績を上回った。中国のロックダウンによる部品供給難は、国内生産も大きな影響を受け、前年4月の国内工場の稼働率が5割程度まで低下したことが大幅増につながった。

 ただ、半導体不足の影響は続いており、国内販売の納期では、最量販車種の「N-BOX」は4カ月程度だが、登録車は半年以上、「フィット」と「ステップワゴン」のガソリン車は1年以上、「シビック」に至っては3月から受注停止の状態が続いている。

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