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エッジマネジメントのサービスやベンダーはどう選ぶ? 賢いユーザーであるためにPoCの壁を超えろ!新時代のIoT活用戦略(3)(1/2 ページ)

IoT活用は本格化しつつあるがPoC(概念実証)止まりになっている事例も多い。PoCの壁を超えるのに注目を集めているのが「エッジマネジメントサービス」だ。最終回の第3回は、エッジマネジメントのサービスやベンダーの選び方、見極め方を解説する。

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 本連載では、IoT(モノのインターネット)の運用負荷やコストを低減し、IoTサービスの採算性やIoT導入の投資対効果を向上させる注目のソリューションとしてエッジマネジメントサービスを取り上げ、ニーズが高まっている背景や導入メリットの詳細を解説してきた。

 最終回となる今回は、ユーザー企業がどのような点に留意してサービスを選定し、IoT導入を支援してくれるITベンダーの価値をどのように見極めるべきかを解説するとともに、IoT市場の今後を展望する。

⇒連載「PoCの壁を超えろ!新時代のIoT活用戦略」バックナンバー

エッジデバイスのマネジメントにかけられるコストは5〜10%

 エッジマネジメントサービスを選定する際に、まずポイントとなるのは何といってもコストだ。IoTを活用した新しいサービスを立ち上げようとした場合に、エッジデバイスのマネジメントにかけられるコストは5〜10%だといわれる。

エッジデバイスのマネジメントにかけられるコストは最大10%
エッジデバイスのマネジメントにかけられるコストは最大10%[クリックで拡大] 出所:NTTPCコミュニケーションズ

 例えば、IoTサービスをユーザーに1万円で提供する予定なら、デバイス管理の費用は500〜1000円の範囲に収めた方がいいということになる。エッジマネジメントサービスは定額利用のクラウドサービスである場合がほとんどなので、もともと想定していた運用管理費用の範囲内に収まるようなコスト感のサービスを採用して、事業としての見通しを立てられるようにすることが重要だ。

 また前回、AWS(Amazon Web Services)の「AWS IoT Core」などの大手クラウドベンダーが提供するIoTプラットフォームサービスは、エッジマネジメントサービスと補完関係にあることに触れた。メガクラウドのIoTプラットフォームは、基本的にサードパーティーのサービスと組み合わせて必要なインタフェースを整備することを前提としている。この点を踏まえると、IoTの導入を検討する企業やIoT事業にとっては、パッケージ化されたエッジマネジメントサービスを採用するという選択肢の他に、例えばAWS IoT Coreを使って、エッジデバイスを一元管理できるツールを自身で開発するという選択肢もあり得ることになる。

エッジデバイスとAWSのサービスをつなげる「AWS IoT Core」
エッジデバイスとAWSのサービスをつなげる「AWS IoT Core」[クリックで拡大] 出所:Amazon Web Services

 しかし、AWSのPaaS/IaaS利用料とPaaS上のデータ処理のロジック構築やその運用コスト、ポータルのアプリケーション開発コストなど最低限必要なコストを積み上げただけでも、大量のエッジデバイスを配置する相当大規模なIoTシステムでなければ、エッジデバイスマネジメントツールの独自開発は採算が取れない。機能要件を固めるためのヒアリングなど、開発にかかる企画コストなども必要になるケースがほとんどで、実際の投資対効果はよりシビアになる可能性が高い。デバイスの種類や数が増えるほど、ツールのメンテナンスや機能追加などにコストがかかるという課題もある。

 他方、パッケージ化されたクラウドサービスとして提供されるエッジマネジメントサービスは、IoT導入をスモールスタートしたいというユーザーでも現実的なコストで利用できる。さまざまなユーザーからのフィードバックを基に常に機能の改善と追加が行われ、サービスとして恒常的にブラッシュアップされる点もメリットだ。IoT導入をしっかりとビジネス上の成果につなげるための運用がしやすくなるという観点で、注目しておくべきサービスと言えよう。

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