日立のコネクティブインダストリーズセクターは「One Hitachi」で成長を加速:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
日立製作所のコネクティブインダストリーズセクターが事業戦略を説明。デジタルシステム&サービスセクター、グリーンエナジー&モビリティセクターと緊密に連携する「One Hitachi」による成長を推し進めていく方針である。
グリーントータルシームレスソリューションでLumada事業のさらなる成長へ
コネクティブインダストリーズセクターにおけるLumada事業の2024年度の売上高目標は、2021年度比で倍増以上となる1兆1000億円であり、全社Lumada事業売上高目標の2兆6500億円のうち41.5%を占めている。このような高い成長を実現するとともに今後もその勢いを維持して行くには、デジタルによって成長を加速させてきたトータルシームレスソリューションをグリーン領域に拡大させる必要がある。
このグリーントータルシームレスソリューションともいえる事例も既に幾つかでてきている。2023年6月8日に発表したセブン-イレブンの環境配慮型店舗の実証では、省エネ、創エネ、蓄エネと関わるEMS(エネルギーマネジメントシステム)を一括して担っている。
また、現在開発中の高速EV(電気自動車)チャージャーを強いプロダクトとして、アーバンGr.のビルソリューションと連携するOT(制御技術)、EVバッテリーの遠隔劣化診断などが可能なITを組み合わせることで、EVを軸としたカーボンニュートラルへのソリューション展開も進めようとしている。
サルエアー(Sullair)の買収で強化された大型圧縮機を、水素/アンモニア製造、CCS(二酸化炭素回収、貯留)/CCUS(二酸化炭素回収、有効利用、貯留)向けに展開するとともに、今後の水素/アンモニアサプライチェーンの構築につながるソリューションも創生していく構えだ。
トータルシームレスソリューションの拡大に加えて重視しているのがリカーリングビジネスの拡大だ。現時点では、コネクティブインダストリーズセクターが顧客に提供する90万台のコネクテッドプロダクト向けの保守サービスが中心だが、事業間のリカーリングノウハウを横展開、相互活用することでソリューション深耕型に変えていく。
コネクティブインダストリーズセクターの2024中計最終年度となる2024年度の業績見込みとしては、売上高3兆1000億円、Adjusted EBITDA率12%とした。これは、2022年6月に発表した売上高3兆2000億円、Adjusted EBITDA率13%と比べると少し抑え目の数字になっている。青木氏は「事業環境のリスクを織り込んだ数字になっているが、売上高3兆2000億円の達成についてはまだ諦めてはいない」と述べている。
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