伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術:間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(5)(3/4 ページ)
コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第5回のテーマは「興味を持ってもらうための技術情報の伝え方」だ。
技術の魅力を伝えるための心構え
技術そのものに起因する問題、受け取り側の問題、発信側の問題と3つの問題に触れたが、技術と受け取り側の問題は残念ながらどうすることもできない。そこで重要になるのが発信方法、つまり伝え方である。伝え方は心構えで180度変わってくるため、この章では、魅力を伝えるための心構えについて紹介する。
技術の魅力を伝えるためには努力が必要
まず最も大切なのは、「技術の魅力を伝えるためには努力が必要である」ということだ。魅力は簡単には伝わらないため、手持ちの情報をまとめただけでは不十分である。自社の技術情報だけではなく、他社の類似技術情報を調べ、技術の土台となっている基礎情報をまとめたり、データやイラストを準備するなど多大な努力が必要になる。社外の人間に魅力を伝えるためには、「社内に伝えるときより10倍は努力が必要」と思って取り組まなければならない。
そして、いい資料を作り上げるには、資料の作成者だけではなく社内全体がそうした気持ちになる必要があるだろう。
「相手は素人だ」と思って資料を作る
相手は技術の素人だと思って資料を作ると、技術解説や背景の説明が丁寧になる。
魅力を伝える側は細部まで説明したくなるものだが、受け取る側に技術の基礎知識がなければ、いきなり細かく話されても頭に入らない。細部の話を始めるためには、まずは基礎知識から丁寧に伝えなければならない。相手は伝える側が思っている以上に技術の知識を持っていないと考える。イメージとしては、理系大学の2年生くらいの知識を想定すると、他社の技術者にもすんなり理解できるものになるはずである。
相手の課題を必ず想定する
技術の魅力を伝える際は、相手の課題を意識しなければならない。伝える側は自社技術を開発した経緯や開発時の課題などを説明する傾向にある。しかし、相手はそのようなことにあまり興味はない。それよりも、「自分が抱えている課題がその技術で解決できるかどうか」を知りたいと思っているのだ。そのため、伝える側は「相手が求めるものは何か」を想定して、その情報を提供するように心掛けなければならない。
相手はいつでも読むのをやめられることを前提とする
Webで情報を発信する場合、相手はいつでも読むのをやめられるという点を常に考慮しなければならない。相手は「面白くない」「自分とは関係がない」と思った時点でサイトを閉じてしまう。「最後まで読んでもらえたら」という、伝える側の思いは一切関係ない。文章や視覚的効果も含めて、相手の興味を引く構成にする必要がある。
想像しやすい内容にする
相手の課題にずばりと答えられるような提案をするのは難しい。この技術を使ったら課題が解決できると思えるものを作る必要がある。そうしたものを作るには、出せる情報は全て掲載することが大切である。数値以外でも図やイラスト、画像、動画などを多用し、相手が想像力をかき立てられるような仕組みを作るとよい。
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