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伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(5)(2/4 ページ)

コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第5回のテーマは「興味を持ってもらうための技術情報の伝え方」だ。

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魅力を伝えづらい3つの要因

 では次に、技術の魅力を伝えるのがなぜ難しいのかを解説する。はじめに、技術そのものに起因する問題を、次に受け取り側の問題、最後に発信者の問題を取り上げる。これらの問題を把握することで、伝え方が大きく変わるため必ず押さえておいてほしい。

技術そのものに起因する問題

 技術の説明は複雑なものになりがちだ。Webサイトで紹介する段階では使用用途が明確に決まっているものではない。これが製品であれば使用用途は定まっており、機能や性能を数値で表現できる。そのため魅力を伝えるときに、相手に明確に価値を示しやすい。

 一方、技術は相手によって用途や使用条件が変わることがあり、その場合、本来の価値を発揮できなくなるなど不確定要素が大きい。しかし、技術の詳細を丁寧に説明すればするほど、全体像が見えづらくなり、価値がぼやけてしまう。

 このように、技術が持つ魅力というのは複雑かつ抽象的な側面があるため、そもそも伝えることが難しいテーマだといえる。

受け取り側の問題


受け取り手次第で伝え方の難易度は変わる[クリックして拡大] 出所:テクノポート

 技術の魅力を伝えることが難しい理由は受け取り側にもある。技術を理解するには、複数の分野の基礎知識が必要になることが多く、その基礎知識を習得するにも勉強が求められる。つまり、相手の持つ知識や理解度によって技術を伝える難易度が変わってくるのである。

 例えば、同じ分野の技術を知っている人に対しては、具体的な数値によるグラフや表、既存技術との差異を説明するだけで十分だ。しかし、その分野の技術をあまり知らない人に同じように説明しても、全く伝わらないことが多い。そのため、前提知識を説明したり、イラストや画像、動画など、視覚的要素を取り込んだりして、技術のコア部分よりも「技術によってもたらされる価値」を技術の魅力として表現するのが効果的だ。

 仮に相手が技術者であったとしても、専門分野以外の技術については詳しくないことが多い。基本的には丁寧な説明を心掛ける必要がある。

発信側の問題


発信者側も工夫が必要だ[クリックして拡大] 出所:テクノポート

 最後は発信側の問題である。発信者は技術を理解した上で、それが相手に効果的に伝わるよう修正しなければならず、その過程でさまざまな問題に直面する。

 第1の問題は「相手の事前情報がない」ケースが多いことだ。自社技術の魅力を伝えるためには相手の興味や技術理解度に合わせたカスタマイズが必要だが、相手が分からなければ手の打ちようがない。

 例えば相手が研究者なら技術の詳細情報を、設計部門なら技術を通じて得られる価値や量産性を、品質保証部門なら耐久性や試験方法という具合に、相手に合わせて伝える内容を変えた方が魅力は伝わりやすい。

 もちろん、プレゼンテーションや会議などで伝える場合は事前にヒアリングをしたり、質疑応答で補足することもできるが、Webコンテンツによる発信は一方通行になるため、コンテンツ作りが非常に大変になる。

 第2の問題は「出せる情報に制限がある」ことだ。技術の魅力は実用化時の事例提示が最も伝えやすい。簡単にいうと、実際にその技術を製品に適用した場合のビフォア/アフターを見せられれば、その価値をひと目で伝えられる。しかし、ユーザーとの契約上、事例を表に出せなかったり、新技術の場合はまだ実績がなかったりする場合もある。さらに、技術データの公開は競合企業にもデータを提供することになるため、企業の経営戦略上許されない場合もある。

 そして、第3の問題は「時間とコストをかけられない」ことである。技術の魅力を伝えるためには、比較データの準備、写真撮影、イラスト作成、資料まとめなど、時間とコストがかかる。しかし、そのための予算がもらえないことも多い。さらに、社内の技術者も資料作成時間をとれないことが多く、結果として既存のデータと分かりづらいイラストを使い、パワーポイントで簡単に作った資料になりがちである。もちろんそれでも伝わることはあるが、うまくいかない恐れがある。技術を正確に伝えたいと思っているのであれば、資料作りには力を入れたほうがよい。

 では、3つの問題を解説したところで、技術を伝えるための心構えについて紹介する。

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